星流れる時に

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「でもさ、不思議だよね。今私たちが見ている星は、何万年も前の光なんだよ。あの時一緒に見た星も、今こうやって見ている星も、今はもうないかもしれないなんてね」 「だな。過去を一緒に見てるんだな、俺たち。過去を一緒に見て、こうして過去のことを話してる」 ハルのしんみりとした言葉が、私に少し寂しい気持ちを運んできた。 「でもさ、流れ星は今存在する、今まさに光ってる星だって、知ってるか」 寂しい気持ちが私の全身に伝染する間もなく、ハルがそう言って私の方に顔を向けたのを感じた。 「え、そうなの? えっと、あ、そっか、流れ星は近いから」 「そう。当たり。なんだよ、せっかく俺が偉そうに説明しようと思ったのに」 そう明るい声でハルは言って、ゆっくりとまた空を見上げた。こうやって私のちょっとした気持ちの変化をすぐに察してしまうところは、昔から変わっていない。 その後、ハルはまた何も言わずに、真っすぐ星空を見つめていた。私も、隣にそんな彼の存在を感じながら、黙ってじっと星空を見つめた。そして、それからどのぐらい時間が経ったかは分からないが、体が徐々に冷えてきた頃、ハルが「寒くなってきたな。そろそろ戻ろうか」と言って、私と彼は前後に並んで登ってきた丘を下った。
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