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「なんでって、おたくの会社から一方的に切られたんですが?」
採用されたとき、一応契約期間ごとに更新だけれどよっぽどのことがないと解除はないと聞かされていた。
なのにたった一年で切られるなんて誰が思う?
「あー、もう俺、あの会社と関係ないし」
「……は?」
意味がわからなくてまじまじと飛田の顔を見た。
指についたソースを舐め、さらに彼が続ける。
「あそこ、いくら成果を上げようと給料変わらないし。
それどころか上司に論文盗まれたりするしさ。
もっと働きやすい会社にもうすぐ移る」
こともなげに言い、にぱっと飛田が笑う。
なんか羨ましいな。
いや、いままで資格とか取ってステップアップしてこなかった私が悪いんだけれど。
「でもさー、今度の会社は寮がないんだ。
食事、どうしよう……」
さも重要な問題かのように、がっくりと肩を落とし憂鬱なため息を飛田が吐く。
確かに彼にしては重要問題かもしれない。
料理はまったくできないので、食事は寮のまかないと社食に頼っていると前に言っていた。
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