二度目の庄司

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 父と母が別れた後も、向希は最初のうちは父に連れられて、私に会いに来ていたような気がする。私にとって向希は兄というより、従兄や幼なじみくらいの感覚なのだ。  お互いに出会いは覚えていない幼少期は、それこそずっと一緒にいて、小学校の頃に離婚で疎遠になっただけだ。その離れていた期間は、私と向希を心身ともに成長させた。再会した時、はっきりと兄だとは思えていなかった。それは、向希もそうだろう。また少しづつ兄妹になる努力が必要だった。ただ幼少期の頃のようにいかないのは当然だ。気恥ずかしい年ごろなのだから。ずっと離れずにいたならば、また違っていただろう。  だから、再婚の時に知らされた新しい真実は、もう一層のこと、ずっと黙っていてくれたら良かったのに。そう思った。 ――母が、いつもならは酔ってふわふわしている時間だった。母が酔っていなかったので何の気なしに軽口を叩いた時だった。 「お母さんさあ、次離婚するときは私がお父さんで向希がお母さんに引き取られるの?」 さすがに次はないだろうと面白くはないが、冗談のつもりだった。 母は咄嗟に取り繕えなかったのだろう。 「それもいいかもね」  と言った時の顔は変だった。いや、それより再婚する前に別れた時の話をからかった私に「何てこと言うのよ」って咎めることもしなかった。それでもこの時は、夢にも思わなかった。疑ったことなんてただの一度もなかった。  だって、似てない兄妹なんて山ほどいるじゃない。
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