三度目の庄司

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 母もキッチンに立ち、いつもより豪華な朝食を取り、昨夜の残りだろうオードブルと有り合わせを並べたを昼食を食べると、巨峰とシャインマスカットとが座敷テーブルに並んだ。  昨日とは違う穏やかな空気にただやり過ごすだけの時間だったのではないらしい。縁側で父と祖父が喋っていた。思春期の父と、かつて向き合った父親の姿があった。  私と向希はまた卵になって押し黙っていた。  向希が「有ちゃん、マスカットより先に西瓜食べた方がいいよ」とアドバイスをくれた。西瓜のやわらかな甘みを感じるための得策だ。 「大きくなったな。二人。良い子だ」 「そりゃあ、僕が良い子だからね」 「……」 「今なら僕も……向希が同じ選択をしたら、父さんと同じことを言っちゃうかもしれないな」 「西瓜、切れたわよ。ほら」 祖父は一番美味しそうな真ん中一切れを摘まんだ。 「父さんのそういうとこ」 「なぁに。お前はこれからも好きなだけ食べられるだろう? 父さんは……」 父の顔が強ばる。 「どっこも悪くないわよ」 と、祖母が呆れるように言う。 「父さんのそういうとこ」 「ははは」 「長生きしてください」 父の声は小さく祖父に届いたかはわからない。だけど、祖母には届いたみたいで 「そうね。早くおばあちゃんになったからひ孫も楽勝!」 卵の殻を破いて西瓜に手を伸ばした私たちはもう一度卵になった。だって、照れるじゃないか。ひ孫だなんて。変に意識してしまう。  祖父が庭を見ながら相好をくずした。
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