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「誰だ、キサマ?!」
「ここがマルアール王宮と解っての狼藉か?!」
「王宮なのは知ってるよ。センジュに置いてくれるよう頼んだのは私だからね」
私がこう言うと、二人の騎士は顔を見合わせた。
「"センジュ"~?誰だ、ソレ?」
一人がバカにしたように言った。
…なんかコイツ、ムカつくわぁ。
「…カー。"ツルツルボール"ちょうだい」
カーがゴソゴソと自分のコンテナ(イベントリ)を漁る。
「ゲェ~。リィが何気にキレてるぜ」
「僕たちがエモノを倒しちゃったから、フラストレーション溜まってるんだよ。彼をイケニエにしとこうよ」
「おう。可哀想だが、俺も命は惜しいからな」
後ろでディーとルトがボソボソ言ってる。
ディーだってルトだって、殺したって死なないくせに。
カーに渡されたツルツルボールを徐に投げつけた。
ボコッ!
ビシャ!
「なんだ、この水?!…あれ?兜がズルズルしてて収まり着かない…」
ズルッ。
ゴロゴロゴロ…。
「「……………」」
「「「アハハハ!いつ見ても、ツルツル頭と顔は、誰であってもおもしろ~!!!」」」
私たち三人の声が揃うと、ツルツルボールをぶつけられた騎士は自分の体を撫で回し、もう一人は、私たちをマジマジと見てきた。
「黒髪に菫色と蜂蜜色のオッドアイ…。白金色の髪にアメトリンの瞳…。そして深紅の巻き髪にシトリンのような黄色の瞳…。守護剣神アルディード、守護魔神エルレット、そして…錬金女神リリティーゼ」
「「「呼び捨てってイイ度胸だな」」」
「ヒィイィィ~スミマセン!!!」
ズルズルっ!と足元に滑りこんできて土下座をキメた騎士を見て、なんだかようやく
"起きた!"
って気がした。
「…『起きますよ』とご連絡頂けましたら、皆でお待ち致しましたのに…」
と言われたので
「あんなうっつせえ声がして、寝ていられるか~!!!王に起きたって報告しとけ!」
「は、ハイィ~!」
「因みにあんたの相方は、私をバカにしたから実験台にする。だから一人で行け。カー、そのバカを引き摺って連れてきて」
ウィン!
カーはコンテナからロープを出すとツルツル頭の男の脚にロープを巻き付け(というか、錬金製ロープなので勝手に巻き付いた)、文字通りズルズル引き摺ってきた。
「お、オタスケぇ…」
相方に手を差し出された土下座の騎士は、弱く
フルフルっ
と首を振った。
「ムリだ。魔王なんかじゃ比べられないほど、コワイ…」
そしてスクッと立ち上がると、ゆっくり遠ざかって行くけど…遠ざかるほど早足になり、曲がり角の手前で全力疾走に変わった。
「女神様方が起きたぞー!逆らったら実験台だ!目を合わせたら最後だぞー!!!」
「…俺たちは熊かよ」
「目を合わせなくたって、実験台にしてもイインダケドネ」
「…オツカイなんかさせるんじゃなかった」
ウィィン?
「ん?ここに一匹いるから気にしなくてもいいよ。それに…壁に突き刺さってるヤツとめり込んでいるヤツと、壁にぶち当たって伸びてるヤツがいるじゃんか」
…ん?
回廊の壁に刺さってるヤツ、一瞬震えなかったか?
まぁ、いいか。
今の王がどんなのだか知らんけど、魔王を脅してから楽しい実験始めるか!
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