好きな人が隣に引っ越してきたのに、そこは呪われた家でした。

殺人事件

どこから救急車とパトカーの音が聞こえてくるのだ。

くるみは漫画を横に置き、上半身を起こして窓へ視線を向ける。

レースのカーテンに近づいてみると、音もくるみの行動に合わせたかのように大きくなっていく。

くるみは一瞬眉間にシワを寄せてカーテンを開いて路地へ視線を向けた。

するとさっき見たときにはいなかった野次馬たちが道路に出てきているのがわかった。

やっぱりなにかあったんだ。

野次馬たちはみんな一様にくるみの家の隣を見ている。

「人殺しがあったらしい」

ひときわ大きな、男性の声が窓から入っていてくるみはギョッと目を見開いた。

人殺し……？

やがてやってきた救急車とパトカーは隣の家の前で停車したのだった。

☆☆☆

翌日、くるみは大きな欠伸をしながら２年Ａ組に足を踏み入れた。

その途端耳に入ってくるのは昨日この小さな町で起こった殺人事件だった。

今朝の全国版のニュースでも伝えられていたから、もうあの事件を知らない生徒はいない様子だ。

くるみは胸の中が嫌な感じになりながら、自分の席へと向かった。