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「……ルーイ? ルイちゃん? さあーて、何をそんなに怒ってるのかな? 俺の世界一可愛いルイがそんなふうだと俺も寂し――」
バフッ、と何かが顔面に直撃し、仰向けにひっくり返った。続けてバフッ、ボフッっと柔らかめな衝撃が続く。頭を起こすと、ルイが泣きながらこちらに枕をぶん投げていた。
「――うわああん! ユリウスのバカー! デレデレ鼻の下伸ばしやがって! おっぱいがそんなにいいなら、おっぱいと結婚すればいいだろっ!」
「――待て待て! 誤解だって! おっぱいなんか全然見てないし、ルイより可愛い子なんてひとりもいなかったよ!」
「嘘つき! スケベ! 女たらし! 適当なこと言うな! 僕は男なんだから、女の方が可愛いに決まってるじゃないか!」
「ルイの方が可愛いよ! 絶対的に、圧倒的に、向かうところ敵なしに、ルイが断然可愛いって!」
「可愛くないってば! ――僕は男なんだからさ! いくら頑張っても、おっぱい大きくならないんだから!」
投げる枕が尽き、手持ち無沙汰になったルイが、こんどはめそめそと泣きはじめる。
案の定、その泣き顔に胸がキュンとした。ああ、泣いてるルイってどうしてこんなに可愛いんだろ。こんなことで拗ねてヤキモチを焼くなんて、可愛いの最上級じゃないか。
ルイを引き寄せ、髪の中に鼻先を埋める。まだどことなくあの夜の蜂蜜が、ぷうんと香る気がした。
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