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「ああ、もう無理。頭がどうにかなりそう」
頭を抱えてへたりこんだ。驚いたルイも、慌てて俺の前に座り込む。
「ご、ごめん! 無理させたよね? じゃあやっぱり着替えは、他の人に――」
「――それも!絶対に!嫌だ!」
思わず大声が口から飛び出す。
ダメ、絶対にダメだから。こんなにエロいことを、俺以外の奴に任せるなんて、無理。絶対に、無理。
ルイは困って、おろおろと上目遣いで俺を見上げた。可愛い。困っている顔もとびきり可愛い。
思わず鼻の下を伸ばすと、ルイは小首を傾げ、遠慮がちに言った。
「じゃあ、練習、する?」
練習!? 何の!?
もじもじと俯いたルイのミルク色の頬が、ぽっと薔薇色に染まる。
かっ、可愛い! 奇跡のように可愛い! もはや人類で一番可愛いと言っても過言ではない俺の恋人。
正直言ってルイは、同じ年頃の女の子よりもはるかに可愛かった。そもそも俺は七歳までは母親と一緒に婆さんばかりの女子修道院にいて、母親が亡くなってからは山ひとつ向こうの爺さんばかりの修道院で育った。
周りに同じ年頃の人間がひとりもいなかったし、女の子などという存在は、長いあいだ想像上の生き物だった。それが突然、拉致同然にこの王宮に連れてこられて、はじめて出会った同じ年頃の人間が、俺の従弟、超絶キラキラ美少年のルイだった。
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