ボタンと蜂蜜の、そのあとで

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「でも、ツルっと禿げたユリウスもけっこう可愛いと思うよ」  ルイが誘うような目をして顔を近づける。深くくちづけをして、舌を絡めた。あいだから漏れる熱い吐息。背筋がぞくりとする。  押し倒し、寝巻きのボタンを外す。外すあいだにも、細く白い首筋に吸いついた。小さな耳たぶをくちびるで挟むと、ルイは肩をすくめ、甘い声を上げる。ぜんぶ好き。ルイのすべてが可愛い。  よし、無事に機嫌も直ったようだし、今夜は二度目の―― 「――待って。いいこと思いついた!」  下に手を伸ばそうとした俺を、ルイが制止する。見上げると、しゅんとしていたはずのルイの顔が、やる気に満ち満ちている。  これは――何かエロいことを思いついた顔だな。  ルイは寝台から飛び起き、大きなクローゼットの中へと姿を消した。今日は一体どんなエロアイテムを持ち出すのかとしばらく待っていると、クローゼットの扉からぬっと顔を覗かせる。明らかに何かを企んでいる顔だ。 「ユリウス、驚かないでね」 「うん、多分驚くと思うけど、何?」  じゃーん、と言いながら、ルイはクローゼットから飛び出した。その瞬間、目の前の世界がぐるりとひっくり返った。  ひらひらの、フリフリの、ふわふわの、贅沢なレースとリボンと波打つフリル――ルイがなぜか、婦人用の純白のドレスを着てそこにいた。その場でくるりとターンすると、膨らんだスカートの裾から、星屑がぱあっと世界にきらめく。
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