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俺の顔を覗き込んだルイが、ぷっと吹き出した。深刻な空気を塗りえるように、わざと声を上げて笑う。
「――何か変な空気にしちゃったよね。ごめん、気にしないで。でもたまにはこういうのもいいでしょ? このドレス、どう? 似合ってる?」
「――うん。びっくりするくらい似合ってるよ」
「可愛い?」
「可愛いよ。奇跡みたいに可愛い」
「よかったぁ。それなら――」
そう言いながら、甘えるように俺の膝の上に乗る。
「今日だけ僕を、女の子だと思って抱いて」
あああ。何かもう、どうしよう。ルイがどんな気持ちでこんなことを言うのかを考えたら――
押し倒し、大きく膨らんだ袖を引き下げる。俺を守るために、永遠に失われてしまったルイの右腕――その付け根にキスをする。生々しい傷跡の残るその場所に、何度も何度も。
ほんとうは大声を上げて泣きたかった。感情を無理やり押し込めたら、胸の奥がカタカタと音を立てる。慌ててくちびるを噛みしめたら、鼻の奥がつーんと痛い。
「ねえ、そんなに悲しい顔をしないで。ユリウスにもっと好きになってもらいたいだけなの。僕は欲張りだから、息つく暇もないくらいユリウスが僕に夢中になればいいなって思ってるだけ」
「……息がつけなくて、死んじゃいそうだってば」
ルイの頬を撫でると、愛おしさが溢れて溺れるかと思った。
幸せにしてやりたい。ルイが不安になったり、これ以上悲しんだりしないように。
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