ボタンと蜂蜜の、そのあとで

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 ルイは俺の胸にべったりしがみついて、わくわくと次の言葉を待っている。そんなルイの顔を、にやにやしながら見下ろす。  猫みたいな大きな目。ミルク色のほっぺ。小さめのピンクのくちびる。はああ、毎日見てるのに毎日可愛い。とびきり可愛い呼び名をつけてあげたい。 「ル……ル……、あっ、ルル!」 「ルル?」 「うん。ルル。ルルなら文句ないよね?」  小さな猫の名前みたいで、ルイのイメージにぴったり。我ながら可愛いのを思いついた。  こんどはルイも満足したのか、猫みたいに俺の胸に擦り寄ってくる。 「大好きだよ、ユーリ」 「俺も息つく暇もないくらい、ルルが好き」  幸せそうにルイの目元が緩む。ムクムクとスケベ心が湧き上がり、その真っ白で小さなお尻のあいだに指を這わせた。驚いたルイが子猫みたいな声で鳴く。 「いま、にゃん、って言わなかった? 前から思ってたけど、ルルって猫みたいだよね」 「言うわけないでしょ! ユーリは僕のことを何だと思って――ぴゃんっ!」 「にゃん、じゃないくて、ぴゃん、だったか」 「……ユーリって猫が好きなの?」 「うん、犬より猫派。猫より断然ルル派だけど」  するとルイは目をぱちくりさせ、小首を傾げてこう聞いた。 「……じゃあさ、女の子じゃなくて、今夜は猫になる?」  何だその意味わからないけど猛烈にエロい提案は!?   シャワーを止め、立ち上がり、浴室に置いてあるバラの香油の瓶を急いで手に取った。これならたぶん、下水管に詰まらない、はずだ。
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