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この最初の刷り込みで、俺の「可愛い」の基準は、ルイによって決定づけられてしまった。その基準がどれほどハイレベルなものだったのかに気づいたのは、他の女子の姿を目にするようになってからのことだった。
この王宮には、ときどき同年代の貴族の娘が姿を見せることがある。おそらく俺たちの将来のお妃候補として、何気なく接近させているつもりなのだろう。それなのに誰ひとりとして胸がときめかない。だって誰も、俺の「可愛い」のレベルを超えてこないのだ。
女の子が可愛く見えないとは、一体どう言うことなのだろう。俺は愕然とし、ようやくそこで気づいた。
そうか、最初に可愛いの基準を、超絶美少年のルイで設定してしまったことがまずかったのだ。だけど一旦植え付けられた価値判断はそう簡単にくつがえるものではなく、そのうち俺は、可愛いに男も女も関係ないのだと開き直るに至った。
俺にとってはルイが、この世の「可愛い」の完全体なのである。
突然、「練習」などと言われて混乱状態にある俺の指を、ルイは手に取った。そのまま俺の指を、ボタンのあいだに覗くミルク色の肌に押し当てる。
思考停止。
恥ずかしげに金の睫毛を伏せ、ルイはぽつりと言った。
「触っていいから。慣れて」
待て、これは悪魔の誘惑なのか!? それとも天使か!?大天使か!?
もう、どれだって構うもんか!
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