練習2 蜂蜜

1/8
前へ
/29ページ
次へ

練習2 蜂蜜

 今日俺は、王宮に献上されたラヴェンダーの最高級蜂蜜を、厨房の食糧貯蔵庫から大量に拝借した。美しいガラス瓶に詰まった、陽の光を濃縮したような琥珀色。人差し指に一滴たらし、ぺろりと舐める。口の奥に広がる上品な甘みと、鼻を抜ける爽やかな花の香り。 「美味い」  さすが王宮への献上品だ。こんなに美味い蜂蜜、生まれてはじめて食べた。  さてこれをどうするのかと言うと、使い途はひとつしかない。  俺の可愛いルイと、超絶エロいことをするのに使うのだ。  昨日の夜もバルコニーを伝ってルイの部屋に忍び込み、しこたまいやらしいことをした。はじめの頃は恥ずかしがっていたルイも、いまや俺よりエロに積極的。もともと好奇心が旺盛らしく、もはやエロの求道者である。 「ねえ、触りっこする以外に、何かないの?」  と昨晩ルイは俺に聞いた。  お互いのものを触っていろいろすることを、ルイはなぜだか「触りっこ」という可愛い言葉で表現する。 「えっ、あるにはあるけどさ――」  まだ俺たちが本番をしていないとういうことを、黄金の箱入り息子のルイはよくわかっていないらしい。そもそもこの純粋培養は、ふつうのセックスのやり方さえ知っているのか疑わしいのだ。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

129人が本棚に入れています
本棚に追加