練習2 蜂蜜

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 男同士のセックスは、ふつうのそれよりはるかにハードルが高い。多分、相当、痛いだろうし。 「練習、してみる?」  恐る恐る提案すると、ルイは大きな瞳をぱっと輝かせ、練習、するする!と元気よく拳まで振り上げる。そのエロへの探究心には、毎度感服するばかりだが。  本当に大丈夫なのか? そんなワクワクな顔をして、あとで泣いて後悔しても知らないからな。  というわけで、こちらの最高級蜂蜜。  最高級オリーブオイルと迷ったが、たぶんルイにはこっちの方が似合う。今夜はこの琥珀色の蜂蜜が、ルイのミルク色の肌の上でとろとろに溶け、ミルクジェラート蜂蜜がけの出来上がり――って、想像しただけで、いま背筋がぞわりとした。  いま俺たちがいるのは、ルイの部屋に隣接する浴室の中だ。エッチなことは、たいていここでする。以前は寝台の上でしていたが、あるときルイがかなり大きく喘いだせいで、外にいた見張りの従者が駆けつけて来た。  あのときはほんとうに、心臓が止まるかと思った。寝台の下に身を隠しながら、部屋の中でこれ以上のことをするのは無理だ、と悟った。  だから、昼間に森の奥でするか、夜ならばこの浴室しかない。ここなら締め切ってしまえば外に音が漏れないし、水を流せば後処理が楽なので、一石二鳥。  ルイと俺はパンツ一枚になり、大きな猫足浴槽の中、向かい合わせで座った。俺が掌の上に垂らす琥珀色の液体を、ルイは目をパチクリさせながら眺めている。
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