32.大魔神、最後の仕上げ

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「最後の最後、食い止めなくてはならないのは艦長の目の前ってことですよね。それならば、まだ未熟な俺より、ハワード少佐か心優さんが適任だと思います」  俺は真ん中ですぐにやられてもいい。でもやるからには時間稼ぎぐらいには食い止めると、彼がいつにない男らしい目で言った。  心優とハワード少佐は顔を見合わせる。  全快ではないハワード少佐を前線に置き突破されるのが前提、そのかわり艦長の目の前を心優が手堅く護るか。コンディション抜群の心優が前線を死守し、もし前線を突破されたら、新人の光太とベテランだが負傷上がりのハワード少佐が必死に護るか。どうする? 「前線を手堅く護る方針で行きましょう。怪我もなにもしていないわたしが立ちます。吉岡君はわたしの背後援護、ハワード少佐まで辿り着いた時もアシストして」 「そうだな。全快なら俺が前線で、心優に艦長そのものの護衛を頼むところだが、いまはそれが不安な体勢になるな。心優が突破されたら、俺が艦長目の前を必死で護ることにしよう」  つまりは、『艦長の目の前を危うくするくらいなら、離れている前線で心優が絶対に食い止める』という方針になったということ。  ついに『父vs娘』の真っ向勝負をすることになりそうだった。  方針が決まった。それぞれのミリタリーウォッチを眺める。 「来るぞ」  ハワード少佐が艦長役の男性を護るように立ちはだかる。心優と光太はひとまず同じ位置にいる。  二分経過。でも父は背を向けてまだうろうろしているだけ。それどころかAチームの激しいスピード感ある訓練を眺めている始末。 「油断するな。ふだんもあのように一般人や一般隊員を装っていきなり来ることもある」
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