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でも娘に制圧された園田教官のその顔は、もう心優が大好きなお父さんの顔だった。
―◆・◆・◆・◆・◆―
警備隊の訓練が終わり、心優と光太は准将室へと急ぐ。
「今日も空母の訓練どうなったんだろうね」
「空海が毒をどう扱ったかですよね。俺も気になります。そろそろ高須賀准将が帰ってくる頃。御園准将にまたどんな怒りをぶつけることか。うまくいけばいつもの穏やかさのままでしょうけれどね」
光太もそこを案じている。心優も気になるので急いでいた。護衛部の訓練に出ている間は、ラングラー中佐が准将のアシストをしてくれているとは言え、やはり気になる。
「心優」
陸部訓練棟の道場を出て急いでいたところ、後ろからそんな声。振り向くと父だった。
「園田教官、お疲れ様です」
もう訓練は終わったのに、こうして声をかけられることも珍しい。しかも仕事上では『城戸』と呼ばれているのに、『心優』と呼んでくれて。
心優と光太が立ち止まったところまで追いついた父が、ちょっと光太がいることを気にして照れたように言う。
「おまえ、一緒に食事する時間、取れるか。できれば雅臣君も一緒に」
父としての用事のようだった。
「うん。私と雅臣さんならいつでもいいよ。お父さんが帰る前に一度は食事したいねと話していたから」
「雅臣君はどうだ。葉月さんから全て任されて、雷神を全面的に指揮しているんだってな」
「うん……、ソニックらしくなっているみたいだよ」
父がほっとした顔になる。
「そっか。よかった」
娘よりも婿殿の責務を心配しているようだった。
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