33.護って還ってこい

4/5
前へ
/737ページ
次へ
 でも娘に制圧された園田教官のその顔は、もう心優が大好きなお父さんの顔だった。    ―◆・◆・◆・◆・◆―    警備隊の訓練が終わり、心優と光太は准将室へと急ぐ。 「今日も空母の訓練どうなったんだろうね」 「空海が毒をどう扱ったかですよね。俺も気になります。そろそろ高須賀准将が帰ってくる頃。御園准将にまたどんな怒りをぶつけることか。うまくいけばいつもの穏やかさのままでしょうけれどね」  光太もそこを案じている。心優も気になるので急いでいた。護衛部の訓練に出ている間は、ラングラー中佐が准将のアシストをしてくれているとは言え、やはり気になる。 「心優」  陸部訓練棟の道場を出て急いでいたところ、後ろからそんな声。振り向くと父だった。 「園田教官、お疲れ様です」  もう訓練は終わったのに、こうして声をかけられることも珍しい。しかも仕事上では『城戸』と呼ばれているのに、『心優』と呼んでくれて。  心優と光太が立ち止まったところまで追いついた父が、ちょっと光太がいることを気にして照れたように言う。 「おまえ、一緒に食事する時間、取れるか。できれば雅臣君も一緒に」  父としての用事のようだった。 「うん。私と雅臣さんならいつでもいいよ。お父さんが帰る前に一度は食事したいねと話していたから」 「雅臣君はどうだ。葉月さんから全て任されて、雷神を全面的に指揮しているんだってな」 「うん……、ソニックらしくなっているみたいだよ」  父がほっとした顔になる。 「そっか。よかった」  娘よりも婿殿の責務を心配しているようだった。
/737ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1505人が本棚に入れています
本棚に追加