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雷神の指揮隊長である橘大佐の険しい声で、パイロット達が待機ルームを出て行く。すぐ側にある出口の階段を上がり、甲板へ。カタパルト装着前の戦闘機へと散らばっていく。
「では、准将。ブリッジへ行きましょうか」
橘大佐も今日は笑っていない。彼も今回は任務に着任はしなかったものの、部下のパイロット達を航海に出すまでは、彼等が還ってこられるようにみっちりとしごく覚悟のようだった。
「雅臣、今日はどうする。バレットとスプリンターの指揮につくか、敵機になる八機につくか」
「今日のところは二機の動きを見定めたいので、バレットとスプリンターの指揮でお願いします」
「じゃ、俺は他の八機につく……が、」
そこで橘大佐が、潮風が吹き込んでくる鉄階段へと向かうパイロットを静かに見送っている御園准将に向かった。
「葉月ちゃん、そろそろケジメつけてほしいんだよな」
ケジメ? なんのことだろう。心優はすぐになんのことかわからず、首を傾げる。
「わかっています。今日、そうします」
准将にはひとことで通じている。
「それから。雷神に対応してくれてるフライトチームを手配してくれよ。雷神の十機だけで演習は、今回は無理だ。バレットとスプリンターの敵機をこなす前に、八機の雷神は、このエレメントの援護という役割を今回は磨き上げていかなくてはならない。そのための、雷神ではないチームを手配してくれ」
「わかりました。ご希望は――」
「小笠原ならベテランチームのダッシュパンサーか、コリンズ大佐が監督をするビーストーム、あるいは、岩国の空海だ。できれば、空海。すでに奴等を見ているからな」
「そうね、そういたします」
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