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お、吉岡君らしいツッコミができていると心優はいい感じと目を瞠る。
「だって。あそこで笑ったら、橘さんに叱られるのは私だもの。あの人と喧嘩すると大変なんだから」
あのミセス准将が、あの人怖いとふて腐れたので、今度は光太が目を瞠っている。この人ってこんな人? ミセス准将のアイスドールのイメージもこうして崩れていくことだろうと、心優も懐かしくなってくる。自分もそうだったなあ……と。
「橘大佐と喧嘩……するんですか……」
「すっごい剣幕で怒るわよ、ねえ、心優」
「ですよねえ、少し前に、横須賀に帰るかと准将がひと言言っただけで、もの凄くお怒りになって、説明も聞かないで飛び出していきましたもんね」
「まあ、あれだけ熱い人だから、マリンスワローの悪ガキ達を束ねてこられたんでしょうけれどね。……実際に、パイロットとして空母で一緒だった若い時の、あの人の破天荒さは記憶に残るほどよ」
あの橘大佐が若さで破天荒だった時なんて、想像するだけで怖い。じゃじゃ馬お嬢様だった彼女にここまで破天荒と言わしめる男ということ。
「でも、でも、かっこよかったです! うー、仕事でなければ握手してほしかったし、エンブレムのサインも欲しかったです!」
くー、あの指揮をする大人の男、かっこいい! ソニックもすげえ飛行を指示していて、しびれた! ついに光太が本性を露わにする。
だが、彼がはっと我に返る。
「し、失礼いたしました!」
素が出て、はしゃいでしまってごめんなさいとばかりに、光太がミセスに頭を下げる。
「嬉しいわね。光太のようなファンが、また防衛に勤しむ、技術を磨く男達の励みにもなっているのよ。橘さんにも伝えましょうね」
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