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「わぁ……素敵……」
思わず漏れ出た感嘆の声に、「気に入ってもらえてよかった」と花音が笑みを浮かべた。
「教室で使おうと思ってた桜が、ちょうど見頃だったから。お花見にいいかな、って思って」
「ありがとうございます」
咲は嬉しさに顔を綻ばせた。
「それからね……」と花音は部屋の明かりをつける。と同時に、クラッカーの音が鳴り響いた。
「ようこそ、華村ビルへ」
テーブルの下から、クラッカーを手にした悠太と凛太郎が姿を現す。
「え?」
クラッカーのテープを浴びながら、咲は呆然と彼らを見つめた。悠太はニコニコと、凛太郎は不服そうな表情を浮かべている。
「フフッ。咲ちゃん、また鳩豆だよ」
花音が可笑しそうに声を上げて笑う。
「は、鳩豆?」
対して、咲はまだ状況が掴めず、おうむ返しをするのがやっとだ。
「鳩が豆鉄砲を食うの略だろ」
そんなことも知らないのか、という顔で凛太郎が睨む。
「まあまあ、凛太郎くん、仲良くしてね」と花音は凛太郎を宥めた。
「今日は咲ちゃんの歓迎会なんだから」
「歓迎会?」
ようやく我に返り、尋ねる。
「うん。まだ、やってなかったでしょ、歓迎会。お花見ついでにいいかなって」
花音はニコリと笑った。
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