人はいさ……

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「あ、料理は、僕が持ってきましたよ」と悠太が重箱の包みを掲げる。 「ちなみに、僕のときは、歓迎会はなかったんですけどね」  やんわりと恨みがましいことを曰う。ハハッと咲は頬を引きつらせた。 「お前、今、そういうこと言うか?」  目を細めた凛太郎が、悠太の頭をワシャワシャと掻き回す。  やめてくださいよ、と悠太は凛太郎から距離を取ろうとするが、やはり体格差で押し負け、なすがままだ。 「まあまあ、あの時は忙しかったから」  花音がフォローを入れ、凛太郎の手を悠太から引き剥がした。 「それに、男三人で宴会なんて、むさ苦しいだけですからね」と悠太に向け、遠慮のない言葉を投げた。 「それはそうですけど……」  悠太は唇を尖らせる。  それじゃあ、と咲はパンッと手を打ち鳴らした。 「一緒にやりませんか、歓迎会っ」  咲の提案に、「えっ、いいんですか?」と悠太は嬉しそうに笑う。 「ね、いいですよね、花音さん」  咲は花音を見上げた。花音は、うーん、と首を捻る。 「……そうですね。不公平は事件の元、ですからね」と片目を瞑った。 「ついでに、凛太郎も混ざっとく?」  花音は揶揄うように凛太郎を見て、笑った。
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