エピローグ

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 宴会の後片付けをしていると、スマートフォンの着信音が鳴った。画面に表示された名前は『柏木(かしわぎ)亮介(りょうすけ)』となっている。  花音は小さく息を吐き、応答ボタンを押した。 「おお、オレオレ」  それと同時に、遠慮のない声が響く。 「どちら様ですか?」  花音は素っ気なく言葉を返した。 「つれないねぇ」と電話の向こうの声が笑う。 「オレオレなんて、いまどき詐欺でも言いませんよ」  花音は呆れて肩をすくめた。 「──それで、今日はどういったご用件で?」 「ああ、今日は悪かったな、と思って」  亮介が謝罪する。 「文乃とそっちに顔を出すつもりだったが、急な事件が入っちまってな。……今日は家にも帰れない」と嘆く。 「それはご愁傷様です」  花音は冷たく返した。 「それで、文乃から聞いたんだが……」との言葉に、菜摘の一件が頭に浮かぶ。 「お前、彼女出来たんだってな」  しかし、亮介の口から出たのは思いがけない言葉だった。 「彼女?」  花音は眉をひそめた。 「なんだっけ、たしか、咲ちゃん、だったか?」  記憶を探るように、亮介が名前を口にする。 「いえ、彼女は……」 「お前、彼女が出来たんなら、まず俺に報告しろ」  花音が弁明しようとするのを遮り、亮介が続ける。
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