はじまりのおわり

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はじまりのおわり

 オベリオの纏っていたマナは忽ち霧散していった。彼の緋色の瞳からも色が亡くなっていった。  黒ずくめの男はニヤつきながら呟いた。 「啓典の民は我が帝国のために居なくなってもらわなくては困るんだよ。」  男はオベリオを貫いた刃を引き抜いた。血が溢れるように噴き出した。オベリオはその場に崩れた。 「モノリス、お前がはじめから皇帝に力を授けていれば、コイツもコイツの仲間も死ななかったんだ。病気なんて何も起きなかったからな。お前のせいで死んだんだよ。」  男は刀にマナを纏わせて、こちらに向けてきた。そして全力で切りかかってきた。  瞬間、男は私の魔技によって生み出された神経針によってその場で動けなくなった。その時の私の思考回路は短絡的だった。最短経路でこの男に対して最大限の苦しみを与える方法だけを思考した。瞬時に答えを弾き出し、私は男の両手足を吹き飛ばすことに決めた。マナが瞬時に膨れ上がっていく。  ユルサナイ…! 「やめろ…!」 そのかすれた声によってマナの増幅は止まった。オベリオが立ちあがっていた。 「オベリオ!だめだ!動くな!」 「お前こそ、やめろ…コイツを殺して、何になる…?」 「しかし…!」 「いいんだ、オレはこれで…」  オベリオは血溜まりを幾つも作りながら、それでも必死の思いで立ち上がり、私を制止するように両手を広げて、私の前面に突いてきた。その掌にはべっとりと血がついていた。 「オベリオ、しっかりして…!」  オベリオは、私の盤面にもたれかかるように倒れた。血の冷たい感触が伝わってきた。震えるほど冷たかった。 「モノリス…エル・マーレ…」  オベリオはその言葉を口にしてから、動かなくなった。
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