長い眠りから覚めて

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 瞬間、私の溜めたマナが解きほぐされた。 “マナリークだと?これはヤツの仕業か?” 「マナだ…。オレに応えてくれているのか…?」 「な、なにを言っておる?貴様らニンゲンのことなど…」  私はそれ以上、言葉を継げなかった。男は私に触れ続けた。 「すごい、本当に読める…。」 “すごい、暖かくて優しい…。こんな、感覚初めてだ。”  私に触れた手がウルダス神話の核心に触れんとしたとき、男の手が引っ込み、苦悶の表情を浮かべた男は頭を抑えたまま、もどしてしまった。 「当たり前だ、母なる神に与えられた叡智を、片鱗といえどこの僅かな時間で浴びたのだ。人間の脳では爆発してもおかしくない量の情報量だからな。」  私は強がるように嘲笑うとしたが、息が上がり絶え絶えになんとかつぶやくのが精一杯だった。  胃液を腕で拭い、男はそれでも精悍な表情を崩してなかった。そんな表情を見たことがなかった。 「すごいな、だがマナが反応し、発光している。これならきっと教示者として導いてくれるはずだ。」 “発光?”  幾数千年ぶりに私は己の身体を確認した。傷一つない美しい黒曜石の輝き、その周囲にはオーラとして桃色の艶やかな光が満ちていた。 “ええええええええええええええ!?”  声に出さないでいるのが精一杯だった。今の私の中にはまるで多重人格の如く、二つの感情が芽生えて、いや、湧き上がっていた。  一つは今の自分を理解出来ずに人間の生娘の如く戸惑う自分、もう一つは、これが愛の感情と自分がこのニンゲンに触れられたいと感じる愛と欲に満ちた感情でいっぱいになっていると悟る自分だった。
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