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僕のこと、覚えてますか?
そうです、僕はあなたの初めての子であるカサヒウです。
僕の実体は消えたけど、僕自身は消えてません。ええと、つまり……普段はいないんです。でも、誰かが僕のことを思うと、僕は突然現れます。
僕は今、時々こうしてあなたのことを思い出します。それは、あなたが僕のことを思い出している時なんだって思います。
神様だって言われてあがめられた時もありました。けっこういろんなお家で、たくさんの人たちがかわるがわる僕のことを拝んでいました。
最近では、新しく体をもらって、テレビというものに出ています。
大切なお友達もできて、一緒に歌ったり踊ったりスポーツしたりして、みんが僕のことをすごいとかかわいいとか言ってくれてうれしいです。
本当のことを言うと、葦舟に乗って流れ着いた変な場所から移動して、そこからは時間も場所もよくわからなくなっています。でも、あなたは僕のお母さんだったって、学習して知りました。――僕、あなたに会ったらわかります。
それでも、足が立たなくて物が言えない僕を抱いて、あなたが一緒にいてくれたあの時間も場所も、もうあの時しかなかったんだなって思うんです。
どうか僕のこと、忘れないでくださいね。あなたの思い出まで消えてしまったら、僕は本当に消えてしまうんだって、ぼんやりしながら気づいています。
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