第三話 謝りのカードとハムとチーズのサンドイッチ※

1/1
前へ
/35ページ
次へ

第三話 謝りのカードとハムとチーズのサンドイッチ※

「やっ…あっ!ヴィル……」 「……本当に嫌か?」  ささやくかすれた声。汗に濡れた額にいつもはあげている髪がおりていて、そんな夜の顔は自分しかしらない。 「や…じゃ…ない……」 「そうか」 「ああああァァアツ!」  一度抜かれたのにぐいとおしこまれる。一番太い部分が感じる場所を押し上げる感覚に、史朗はしなやかに白い身体をのけぞらせた。  ヴィルタークの腹筋にこすられて、びくびく己の花芯がふるえるのを感じるけれど、吐き出すのは透明な蜜ばかりだ。  過ぎた快楽。普段の彼ならば史朗の身体を気遣ってここまでしない。正直つらいけど、その深い蒼の瞳にやどる炎に、なにも言えなくなってしまう。  自分達の見合い話だけではない。国王代理として常に様々な問題が日々起こるのだ。政(まつりごと)にうとい自分はせいぜい魔法のことで相談にのるしか出来ない。それから、こうやってそばにいることしか。  きゅうっと自分のなかがヴィルをしめつけたのがわかる。彼の眉間にしわがよるのに指をのばして広げるようにするのが、最近クセになってしまった。今も反射的に汗に濡れた前髪をかき分けるようにしてそうしていた。  前髪をあげているときは精悍で二十五の歳より落ち着いてみえるけど、おりていると年相応に見える。それに野性味があって背筋がぞくぞくして、そんなヴィルタークも好きだと思う。 「ずっと……ね…そばに……いるか…ら……」  ゆさぶられ男の広い背に手を回し爪を立てながら、途切れ途切れ言えば「離さない」と短く返ってくる。ぎゅっと包み込むように抱きしめ返される。  いや、それは史朗をがんじがらめにするようでいて、どこかすがるみたいだった。自分の薄っぺらな胸にひたいを押し当てるみたいにして、史朗はヴィルタークの少し固めの髪を、子供にするみたいになでる。  いつもと逆だな……と思いながら。    ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇  朝、じゃなくて昼近く。目覚めるとヴィルタークの姿は当然なかった。  昨夜のように無茶した翌日は、史朗の起床はだいたいこれぐらいの時間になる。国王代理として忙しいヴィルタークは当然、先に王宮へと行っている。  身を起こせば枕元にカードがおかれていることに気付いた。白のシンプルなカードに、庭の咲きかけの白い薔薇が一輪そえられている。たぶん朝早くに起きてヴィルタークがてづから切り取ったのだろう。  カードを開けばそこには端正で力強い筆跡で「すまない」とひと言。これは昨夜ひどくしたことの謝罪なのか、それとも一人寝台に置き去りにしたことなのか。その両方だろうか?  昨夜、くたくたになって意識も落ちかけているなか、かわした会話を思い出す。 「明日から三日、王宮に来なくていい」 「……それは国王代理命令?」 「そうだ」  「……どうして?」と落ちそうになる意識を叱咤(しつた)して訊ねた。それは唐突な三日間の休暇じゃなくて。 「ヴィル……自分に怒ってた?」  人の気持ちなんかわからないが、それでもこの人のことは多少わかるようになった。それに「ふ……」と彼が切なそうな表情で苦笑した。 「お前には敵わないな。俺やムスケルの見合いのことはいいんだが」  ヴィルタークの長い指が史朗の黒髪をすくように撫でる。彼は自分のこのすんなりした髪をいたく気に入っているようで、だから「伸ばさないか?」と言われたときに、素直にうなずいてしまった。 「お前まで巻き込まれるとはな。そんなことは分かっていたはずなのに、お前だけは別の場所においておけると思っていた。俺の甘さだ」  これは史朗に持ち込まれた見合い相手への嫉妬ではない。ヴィルタークは史朗を政争の外へと置いて起きたかったのに、結局巻き込んだと思っているのだ。 「……でも、僕がヴィルの横にいるなら仕方ないじゃない」  国王代理のそばにいればかならすそうなる。ヴィルタークも「ああ」とうなずいた。彼だってわかっいて、それでも史朗を守りたいと思ってくれているのだ。 「三日でなんとかするんでしょ?」 「してみせる」 「じゃあ、僕……大人しくお家でお留守番……してる」  それ以上頑張っていられなくて、史朗は眠りについたのだけど。 「わざわざこんなカードなんて、あの人らしくもない」  トゲが綺麗にとられた白薔薇の香りを楽しみながら、史朗はカードに書かれた文字をなぞる。 「お返ししなきゃね」  ちょっとけだるい身体でベッドから起き上がり、史朗が向かった先は。    ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇ 「珍しい昼だな」 「うまいぞ」  王宮。王の代理の執務室。用事があったムスケルは昼の時間と知りつつヴィルタークを訊ねた。昼餉だからと今さら遠慮する間柄ではない。  その国王代理殿がかぶりついているのは、ハムとチーズを挟んだパンという単純なものだった。  侯爵家から届けさせた昼にしては、ずいぶんと質素というか単純だ。あの家のコックは腕のよさはよく知っている。彼のものならもっと凝ったものになるはずだ。 「シロウが作ってくれたんだ」 「ノロケか?」 「そうだ。伴侶の手料理だ。とびきりうまい」  最後の一切れを手にとって、それも二口で食べてしまうのにムスケルが「あああ」と声をあげる。健啖家の彼らしく二人前はあるだろうバスケットの中はすっかり空だ。 「一切れぐらいくれてもいいじゃないか」 「誰にもやるものか」  「君、伴侶のこととなるとおもいっきり狭量だな!」そんなムスケルの言葉を聞きながら、ヴィルタークはするりと指を滑らせたカードには。 「愛しあった朝にゴメンなんてやめて」  と書かれてあった。    ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇  さて、その日から国王代理殿自らの伴侶の賢者の身辺整理が始まった。  本来の執務を滞らせることなく、その合間に呼ぶのはいかにも彼らしい。それも史朗がお茶会やら食事やらに誘われた、頭から順番にというのがまた、ヴィルタークらしい生真面目さだ。  そして、なにごとか?と緊張の面持ちの顔で国王代理の執務室に呼ばれた彼らが言われた言葉は、我が伴侶に誘いをかけるなという直接的なものではなく。 「あれも俺も色々と忙しく都合が合わないが、今度誘うならば共に誘ってほしい」  というものだった。  その言葉に大半の貴族達は恐縮というより戦慄した。あの賢者に自分が誘いをかけたことなど、国王代理殿はすでに把握済みなのだと。まして口許には微笑は浮かべているが、その濃紺の瞳の迫力たるや、すこしも笑っておらずこちらを見据えている。  俺の伴侶に手を出すなという魔王?のような低い美声が聞こえてくるようであった。  なかには二人ご一緒に招待ならばいいのか?それも賢者殿だけではなく国王代理殿もならば、そのどちらかにうちの娘達にも機会が、いやもしかしたらそれぞれに気に入ってくださるかも……と都合が良いことを考える者もいたが。  そこは戻ってきた参議の詰め所で、ふらりとやってきた宰相殿が、上流階級御用達の新聞……本日の王の代理の殿や賢者殿の日程から、紳士淑女のお誕生日、果ては○○男爵夫人と○○伯爵夫人の夜会での取っ組み合いのケンカ?原因は二人のひいきの男優!?……つまりは真面目なものからあることないことの醜聞まで扱う、それをぺらぺらめくりながら。 「二人一緒に招待したら、ずっと一緒にべったりいて、一緒に踊って、一緒に笑い合って、結局、砂糖つぼ一杯のみ込んだ気分になるだけだぞ」  との言葉に、たしかにそうだと浮かれた気分もぺしゃんこにされて、みんなとぼとぼと宮殿をあとにしたのだった。  そんな面談も、一日目はともかく二日目ともなれば儀礼的となる。とはいえ国王代理の呼び出しを断るわけにもいかず、三日目の参議の詰め所にはなんとも言えない空気が流れていたとか。  さらにはとどめは、その三日目。今まで呼び出した全員の邸宅に、招待に応じられない詫びとしてと、菓子折が届けられたのだ。 「まったく徹底してるな。配った菓子が、蜂の巣型のパイとはな」  その三日目の王の代理の執務室。自分の館にも朝一番に嫌みみたいに届けられたそれを見て、ムスケルは顔をしかめたものだ。贈答品として一番大きいだろう木箱にぎっしりと収められたそれは、大変味はよかったが。 「うちの料理人が腕によりをかけて作ったものだぞ。それは張り切ってな」 「そりゃ張り切るだろう。お仕えする旦那様と奥様の引き出物だ」  そう、蜂は多産と豊穣をあらわすことから、蜂の巣型のパイというのは婚姻の引き出物に用いられるのだ。つまりはそういうことだ。  うちの伴侶にちょっかいかけるのはやめてもらおうか?とやんわり注意したうえに、とどめに引き出物のパイを送りつけたのだ。この男は。 「シロ君のことに関しては、なりふり構わんと思っていたが、ここまではとはな」  ムスケルは「だが」と続けて。 「諦めない奴は諦めないぞ。いや、むしろぶり返し続けるというべきか」  しばらくは史朗のことだけでなく、あれだけ寵愛されているならと、ヴィルタークの見合い話もおさまるだろう。しかし時間というのは流れ、人というのは度しがたいほど忘れっぽいものだ。  またなにか切っ掛けがあればきっと、二人の周囲に結婚話は持ち上がり続けるだろう。愛情と結婚は別という考えが貴族達にはある限り、それはそれこれはこれでお世継ぎを……と考える者はいる。  それは単に一族の栄達目当てだけではない。 「偉大なるジグムント大王とその血を引く、お前もまた英雄なんだヴィルターク。王家の血が途絶えることを惜しむ者達はいるんだぞ。それが王家への忠誠だと信じてな」  そしてヴィルターク本人が国王代理を名乗ろうとも、王を渇望する者達はいるということだ。それが偉大な血であればあるほど。 「分かっている。よくもって一年へたをすれば三月後にはまた、俺のところに見合い話はくるかもしれないがもうシロウには指一本触れさせない。  その意思を示せただけで十分だ」  そんなことは当然わかっているとヴィルタークはうなずく。ムスケルが肩をすくめる。「ま、いくら見合い話が来たところで、のらりくらりと交わせばいいことだけどな」とは、目の前の悪友だけでなく、己のことも語っていた。 「しかし変人のお前のところにも見合い話とはムスケル。よかったな」 「ちっともよくない。断るのが大変だと言ってるだろう」  むすりと答えた糸目の参謀は、つぎにニヤリとたくらみの微笑みを浮かべた。 「お前は自分のところに見合いが来ないのはせいぜい三ヶ月といったが、それをかなり延ばす方法があるぞ」 「ほう、それはなんだ?」 「ま、シロ君には災難かもしれないがな。二人のためなんだから、協力してもらおう」  さて、その策とは。    ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇  頭に花輪を載っけるのには耐えた?し、古代風の衣装だとクラーラが言い張る、どう見たってファンタジーの妖精の女王がまとうようなドレス、もとい白く長い衣に、透けて輝く白いマントも大人しく着た。  これも玉座の間での儀式のあいだと思っていたからだ。 「大バルコニーでみんなに手を振るなんて聞いてないよ!」  王宮の正面の広場に面する大バルコニー。そこに続く控えの間にて、史朗は女神の姿のままだった。  玉座での儀式が終わってホッとしたのもつかの間「こちらへ」とヴィルタークとともに、侍従や女官達に囲まれて連れてこられたのが、このバルコニーへの続きの間でもう近くに広場をぎっしり埋めてるだろう民衆の声が聞こえている。 「そうだな。今年から儀式のあとにこの行事が加わった」 「それってムスケルあたりの提案でしょ!」  「正解だ」とヴィルタークはなぜか上機嫌だ。いつもの聖竜騎士団の制服もいいけど、今日の王様の格好は特別威厳があって威風堂々としていてかっこいいな~とか見とれている場合ではない。  「お時間です」とうながされて、それでも行きたくないと戸惑っていると、ヴィルタークに肩を抱かれてそのままバルコニーへ。  王宮の正面広場は二年ぶりの華やかな花祭りともとから人気のあった聖竜騎士団長にして、今は国王代理でもあるヴィルタークのお出ましに大熱狂していた。「王様万歳!」という声が聞こえる。それに代理がつくのだけど、それをいちいち訂正しろなんてお触れはヴィルタークは出さない。おおらかな男なのだ。  それでも王の衣はまとっていても王冠は頭にいただかない姿で、民衆に手をあげて微笑む。やはりその姿はかっこいいなと史朗は見惚れてしまう。 「シロウもみんなに笑って。声が聞こえるだろう?」 「え?あ、うん」  なぜかそこに「賢者様万歳!」という声がまじる「なんてお美しい」とみんながため息をついていることを史朗は知らない。  でも、その声には思わず笑顔にはなる。みんながこのお祭りに喜んでくれていることはいいことだ。その前の一年はころころ王様が変わった末に、ついには王様は不在の上に評判のよくない暫定皇太子なんて期間もあったのだから。  自然に笑顔になってヴィルタークにならって手を軽く振れば、ひときわ大きい歓声が起こってびっくりする。が、それもヴィルタークが抱いたままの史朗の肩を引き寄せて手を振るのにさらなる大盛りあがりとなって、なんだかおかしくて史朗はヴィルタークと顔を見合わせて、さらには歓喜の民衆に応えて、再度、手をあげたのだった。  それで終わると思ったのだけど。 「パレードってやりすぎじゃない?」  花輪に飾られたほろ無しの豪奢な馬車。白に金泥づくりのいかにもな儀典用だ。ふかふかの赤い椅子がまぶしい。  バルコニーでの民への挨拶のあとこれで花冠を脱げるかと思ったら、今度は馬車が用意されていたのだ。これに乗り込んで王都の大通りをぐるりと一周するのだという。  とはいえ、史朗が今さら言ったところで、すでに用意は出来ているし、民への知らせも出ているのだ。これもヴィルタークに肩を抱かれるまま、馬車に乗り込んだら「賢者様、これを」と女官長から、花で飾られた手提げの大きなバスケットを渡された。中身は花や花びらが一杯につまっている。 「パレード中、これをみんなにおまきください。女神様からの祝福です」  「え?」なんて、問い返しているあいだに馬車は出発してしまった。  王宮の門から真っ直ぐ続く大通りの脇には民がぎっしりとつめかけていた。馬車が現れると広場同様に歓呼の声。  それに片手をあげて応えるヴイルターク。史朗は女官長に言われたことを思い出して、カゴの中の花びらをひとつ掴んで投げれば、最前列で声があがって、人々が手を伸ばしてその花と花びらを受けとめる。「女神様の祝福だ」なんて声がする。  でも、これだと前の人達だけで後ろには届かないな?と史朗は考えた。そこで詠唱無しで、風の魔法を使ってふわりと花と花びらを投げる。それもわかりやすいように、キラキラと輝かせて。  それに今度はまたさらに大きな歓声があがる。「すごい~キラキラしてる。女神様の魔法」なんて子供達の声に嬉しくなって、沿道の人々に花をまきまくった。  八頭立ての白馬が引く馬車に乗るのは、王冠は頭に載っていないが、堂々たる王の衣装をまとった人気の国王代理。そして、その横にはこれまた人気の賢者様だ。今日は頭に花冠を載せた女神の姿で古代風の衣装もよくお似合いだ。その白い手がまく花と花びらは光をまとってキラキラと輝く。風にそよぐ、その艶やかな黒髪と共にだ。  バスケットは魔導具で、まいてもまいても花と花びらは尽きることなく、大通りを埋め尽くした観衆は、大いに盛り上がったのだった。  さらにはパレードから帰ってきたら、王宮の広場にはいりきれなかった民への、二度目のバルコニーでの挨拶が待っていた。  その頃にはもう、なんかやけくその笑顔で手を振っている史朗がいた。そんな女神の姿した史朗を、王の衣装まとったヴィルタークが、ふわりと抱きあげてバルコニーから去るまで、民衆は熱狂に包まれたのだった。  翌日の壁新聞が、バルコニーで挨拶する二人や、パレードで花びらを巻く女神の姿をした賢者様や、その賢者様をバルコニーで抱きあげる王様代理の絵姿で埋め尽くされたことは、いうまでもない。 「もう、僕は二度と女神の役はしないからね」  などといいながら、当然のごとく翌年も頭に花冠を被っていた史朗だった。  そしてバルコニーやパレードでの仲むつまじい二人の様子に民衆はすっかり熱狂して、国王代理と賢者様をすっかり二人で一つと考えるようになってしまった。賢者をごくごく自然に王妃代理として無意識に受け入れたわけで、時折に「そういえば賢者様って男の子だったねぇ」などと言いだす始末だ。「そんなことどうでもいいよ。お美しいもの」と。  そんな民の空気に、貴族達もまた国王代理に第二夫人を……と勧めにくくなったことも事実だった。下手に見合い話を勧めていると民衆の噂などになれば「あの仲の良いお二人をひき裂くなんて……」と民衆を敵に回すことになる。  代わりにでもないが宰相ムスケルの元へは変わらず見合い話が持ち込まれたが、こちらもなにを考えているやら、のらりくらりとはぐらかされるばかりだった。  いつしかこの三人への見合い話は持ち込んでも無駄という空気が、貴族達の間にさえ流れることとなった。    ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇ 「ねぇヴィル、本当に今日は僕のお弁当でいいの?」  侯爵邸。壁の片側が天井までの格子の窓になってる。朝の輝く日の光が降り注ぐ食堂にて。  花祭りから数日後。「頼みがある」とヴィルタークから深刻な顔で言われて、今日の朝食も美味しいなあと、ふわふわのパンにスクランプルエッグをのせて、もぐもぐやっていた史朗はちょっと緊張した。  そのヴィルタークの頼みというのが、本日の昼に史朗の手製の弁当が食べたいというものだった。 「僕、料理なんかしたことないから、また、あのハムとチーズを挟んだのになっちゃうよ」 「かまわない、うまかったからな。また食べたい」 「……ちょっとがんばってみようかな」  褒められれば嬉しいし向上心だってわくものである。その日にはハムとチーズを挟んだパンの他に、ゆで卵と豆とキュウリのサラダが添えられていた。史朗が侯爵家のコックに習いながら作ったものだ。  その後も、挟む具材の数が増えていくにつれて、その断面も綺麗になっていく。  そして、バスケット一杯二人前のそれをぺろりとヴィルタークは平らげたのだった。 「あいかわらず、君はその愛妻弁当を一口も私にくれないな」 「シロウが私に作ってくれたものだぞ。お前はお前の妻に作ってもらえ」  そんな、ムスケルとのやりとりも恒例となったとか。  
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

401人が本棚に入れています
本棚に追加