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第一章 片想い
俺の好きな人。
その人は、クラスの1番可愛い子…ではない。
けれども、クラスで…いや、学年内でも1番にモテるような人だ。
そして……
「隼人!おはよう。」
「…おはよう、奏多。」
俺の、幼馴染だ。
「昨日、ゲームやり過ぎて今日めっちゃ眠いんだけど…。」
「バカだなぁ。俺は部活終わってすぐ寝たわ…練習試合だったからさ。」
「そっか、お疲れ様だな。勝ったの?」
「勿論!圧勝。」
「ははっ、流石。」
「だろー?あ、今日部活休みだから一緒に帰ろうぜ。飯もどっかで食べてさ。」
「いいじゃん。あ、駅前に新しく定食屋出来たらしいし、行かね?」
「りょーかい!」
そんな他愛もない会話をしながら、毎朝登校するこの時間が…俺にとって、唯一の楽しみだ。
学校も同じ、クラスも同じ、席もそこまで遠い訳ではない。しかし、いざ学校に行ってしまえば、この男…小鳥遊奏多は『みんなの小鳥遊奏多』だ。
「おはよう!」
「あ、奏多君だ!おはよー!」
「おう、奏多!昨日の練習試合大活躍だったな。流石!」
「小鳥遊君、今日もカッコいいね!」
朝、学校に着いた途端この調子だ。すぐに男女共に囲まれ、俺は隣を追い出されるような形で自分の席に向かう。
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