第一章 片想い

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『隼人、ごめん。俺、今日から朱莉さんと学校行くことになった。』 それは、奏多から葉山先輩と付き合い始めたと聞かされた3日後の事だった。 『…そっか。だって彼女だもんな!大事にしなよ!俺の事は気にしないでさ!』 『悪い…今度飯行こうな。』 『いいって、気遣うなよ!』 ……ショックだった。 話を聞く感じ、恐らく葉山先輩が朝一緒に登校しようと提案したのだろうけど…完全に負けたと、思った。 奏多と仲良くなってから、朝一緒に登校するのは俺だけの特権だと思っていたのに…あっさりとその場も奪われてしまった。 彼女が出来ても、それでも俺のことを優先してくれるだろうって…そう思ってた自分が恥ずかしかった。 それがきっかけで、奏多とは話さない日もあるぐらいには接点が無くなった。 中2の時はクラスが違っていたため、廊下ですれ違ったり、教科書の貸し借りぐらいでしか話す機会は無かったからだ。 その点、葉山先輩は3年ではあったが、学校の行き帰りは一緒、部活も一緒と羨ましいぐらいに奏多と時間を共に過ごせていた。 2人を見ないように過ごす毎日。登校時間もズラして、徹底的に会わないように心がけた。 ……だって、仲の良い2人を見てしまえば…泣いてしまいそうだったから。
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