78人が本棚に入れています
本棚に追加
『隼人、ごめん。俺、今日から朱莉さんと学校行くことになった。』
それは、奏多から葉山先輩と付き合い始めたと聞かされた3日後の事だった。
『…そっか。だって彼女だもんな!大事にしなよ!俺の事は気にしないでさ!』
『悪い…今度飯行こうな。』
『いいって、気遣うなよ!』
……ショックだった。
話を聞く感じ、恐らく葉山先輩が朝一緒に登校しようと提案したのだろうけど…完全に負けたと、思った。
奏多と仲良くなってから、朝一緒に登校するのは俺だけの特権だと思っていたのに…あっさりとその場も奪われてしまった。
彼女が出来ても、それでも俺のことを優先してくれるだろうって…そう思ってた自分が恥ずかしかった。
それがきっかけで、奏多とは話さない日もあるぐらいには接点が無くなった。
中2の時はクラスが違っていたため、廊下ですれ違ったり、教科書の貸し借りぐらいでしか話す機会は無かったからだ。
その点、葉山先輩は3年ではあったが、学校の行き帰りは一緒、部活も一緒と羨ましいぐらいに奏多と時間を共に過ごせていた。
2人を見ないように過ごす毎日。登校時間もズラして、徹底的に会わないように心がけた。
……だって、仲の良い2人を見てしまえば…泣いてしまいそうだったから。
最初のコメントを投稿しよう!