My hero, My precious

第一章 片想い

「…今に始まった事じゃないしね。奏多の人気は。」
「やっぱり嫉妬したりすんの？あんなにイケメンが隣に居て。」

少し小林の言葉が引っかかったが、あ…なるほど、とすぐ理解した。

「…まぁ、仲良くなる前までは…かな。仲良くなれば、嫉妬なんてしなくなるよ。だって奏多は本当にいい奴だからな。嫉妬なんかしたら自分がただ醜くて仕方ない。」

……まぁ、俺は違う意味で嫉妬してるんだけど。
という言葉は言うはずもなく、奏多をそんな風に見る奴が居ればバカだろ、という様な思いを込めてフッと笑った。

「へぇ…、まぁあんなにイケメンなのに気取ってないし、性格も見た感じ良さそうだしな。いいねぇ…あんだけイケメンに生まれたら人生イージーモードなんだろうなぁ。」

そんな小林の言葉を聞き流しながら、奏多の方にまた視線を戻した。

……人生イージーモードね、と小林が言っていた言葉を反芻する。まぁ、その言葉を否定する訳ではないが、勿論奏多にだって悩みはあるだろうし、実際好きだった彼女に裏切られたりしてる訳だから必ずしもそうとは言えないだろう。

それでも、あんなに男女に囲まれて人気だったらそう見えるのも仕方ないか…と1人納得した。