第一章 片想い

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「奏多君、今日部活休みだよね?」 「うん、そうだけどどうかした?」 「みんなでカラオケ行かないかって話してたんけど、来ない?」 「小鳥遊君来てくれたらみんな盛り上がるよねって話してて!」 そんな声が耳に入ってきて、俺はあっ…と声を上げそうになった。 「あー…ごめんね、俺今日すでに先約あるんだわ。また誘って!」 「えぇ!そうなのぉ?ざんねーん!」 「まぁ、先約入ってるなら仕方ないかぁー。それじゃあまた誘うね!」 「ありがと!」 …そんな会話を、何だか居心地の悪い思いで聞き流した。 「…奏多さぁ。」 「ん?なぁに?」 今朝約束した通り、俺と奏多は駅前に新しく出来た定食屋で晩飯を頬張っていた。 「…別に、俺との約束優先しなくたっていいんだからな?」 そう言った途端、それまで美味しそうに焼肉定食を食べていた奏多が眉間に皺を寄せ、不満そうな顔を見せた。 「…はぁ?何言ってんだ!高校から仲良くなった奴と小学校からの親友、どっちの約束優先するって勿論、親友に決まってるだろ。しかも今日は先にお前と約束してたんだから。…何でそんな事言うんだよ?」 本気で怒ったような口調に、俺も少し驚いて食べている手を止めてしまった。
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