第一章 片想い

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「…いや、だって…俺、奏多と違って明るい訳でもないし、何なら陰キャだし?…そんな俺と居るより、他の陽キャの人とワイワイやってる方が奏多には合うかなぁって思って。」 と、ブツブツ呟いていると奏多が目の前でハァァァと大きな溜息をついた。 「陰とか陽とか、そんなの関係ないし。隼人は隼人。俺は俺。俺は俺のしたいように、仲良くしたい人と連む。今日は絶対にお前と飯が食べたかったから今此処に居る。…それじゃあダメな訳?」 強い意思を持った、奏多らしい答え。 俺がクヨクヨ悩んでいるのが馬鹿らしいと思う程に、奏多はいつも真っ直ぐに思いをぶつけてくれる。 ……羨ましい。こんなに真っ直ぐに他人に対して向き合える事が。それに比べて俺はいつも背を向けてばかりだ。 「…ダメじゃない。ごめん、考えなしな事言って。」 「良いよ、隼人は隼人で俺に気遣ってくれたんだろ?…隼人は優しいからなぁ。」 「そ、そんな事ないし!…ってかどっちかと言うとみんなに優しいのは奏多だろ…。」 「そうでもねぇよ、俺は。…さ、早く食べよ。冷めないうちに!」 「…そうだな。」 目の前で美味しそうに肉を頬張る幼馴染を見て、何だか泣きそうになった。 ……やっぱり俺、奏多が好きだよ。大好きだ。
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