第一章 片想い

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……まぁ、今に始まった事ではない。 奏多のモテっぷりときたら、それは彼と仲良くなってから…いや、小鳥遊奏多を一目見た時からだ。 小鳥遊奏多は小学3年の時、俺がいる小学校に転校して来た。 『矢鱈とイケメンな転校生が来た』と同学年の女子は騒めき、その噂は違うクラスの俺の方にまで聞こえてきていた。 どれくらいイケメンなのかと、同じクラスの男子4、5人でそのクラスに興味本位で見に行ったが、その時は女子に囲まれすぎて顔を見ることが出来なかった。 結局、顔が見れたのはその日の転校生紹介での挨拶の時だった。 正直、誰が見ても美少年と言わざるを得ない顔の造形だった。 くっきり二重、鼻筋はスッと通っていて、薄すぎず厚すぎない唇、シャープな顎に、健康的に日に焼けた肌、如何にも運動ができそうな体型と髪型…。全てが理想のような彼は、とにかくモテた。 俺が好きだった女子は、みんな奏多の事が好きだった。…というか、俺らの学年の女子の8、9割はきっと奏多を一度は好きになったのではないかと思う。
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