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その日の放課後、今日は奏多が部活で一緒に帰れない日だ。
奏多と別れて、下駄箱に向かっていた時だった。
後ろから肩にドンッと重みを感じ、振り返ると其処には見たくない顔があった。
「…昼間はどうもぉ。ちゃんと言わないでくれたんだ?」
「…別に俺が言いふらしたところで何のメリットも無いし。寧ろ関わりたくないんでね。」
「ハハッ…思ったより口悪いんだな?…それよりお前、小鳥遊奏多と仲良いんだ?」
「…だったら何だよ?」
「いや、意外だなぁと思って。小鳥遊奏多と言ったら俺らの学年のちょー有名人じゃん?そんな奴とお前みたいな奴が仲良いなんてさ。…しかも、かなり仲良いんじゃない?」
『お前みたいな奴』と、ほぼ初対面の奴に言われて腹が立たない訳ではないが、実際のところそうなので否定する気はない。…というか、宮野と長話をする必要が俺には無い。
「…幼馴染だけど、何?あと用事ないなら俺帰るから。」
「冷てぇな…あ、俺……」
「…知ってる、宮野だろ。…お前もまた違った意味で学年の有名人だもんな?」
嫌味で言ってやったが、宮野の反応はフッと余裕の笑みを浮かべただけだった。
「…ホント口悪いなぁ、お前。名前は?」
「……中嶋、だけど。」
「中嶋ね。…ま、今後も仲良くしようぜぇ?」
そう言ってヒラヒラと手を振ると宮野は去って行った。
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