第一章 片想い

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小鳥遊奏多の事は、正直に言うと好きではなかった。 それは単なる僻みではあるが、小学生なんてきっとそんなもんだ。モテる男子を敵対視するのは、当たり前ではないかと思う。 そんな俺が、何故小鳥遊奏多を好きになったのか。それは、クラス替えをして同じクラスになった小学5年の時だ。 きっかけなんて、とても単純で…他人から見たらたったそれだけの事で?と思うかもしれないが、その時の俺にとって小鳥遊奏多は間違いなくヒーローだった。 俺の奏多への見方が変わったのは、9月に行われた運動会間近の頃。 当時、そこそこ足が速かった俺は、奏多と共にリレー選手として選抜されていた。 代表はクラス男女2人ずつの計4人。4人で居残りをしながら練習する毎日。最初は息が合わなくて、よく揉めたがそれを纏め上げたのは奏多だった。 バトンの渡し方、掛け声、そしてメンバーへの気遣い…そう、小鳥遊奏多はただ顔が良いだけの人間では無かったのだ。
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