第一章 片想い

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俺の番では、Bチームは4位。しかし、1〜3位とはあまり離れておらず、頑張り次第では少し順位を上げられそうな位置だった。 バトンを貰い、勢いよく飛び出したその瞬間だった。 あっ…と思った時には、もう遅くて。 俺は、足が絡まって思いっきり転んでしまった。 顔から血の気がサァッと引く感じがした。急いで立ち上がり、落としてしまったバトンを拾って走り出した時には、後ろにいた2人は既に俺を追い越していた。 足が痛かった。 けれど、ここで走るスピードを緩めたらダメだと分かっていた。 一生懸命走ったが、一向に縮まらない差。白組から落胆する声が大きく聞こえた。 泣きたくなる気持ちを抑えて、何とか次の人にバトンパスをしたが…既に俺のチームの士気はダダ下がりだった。 『何の為の練習だよ…コケるんなら意味ないだろ。』 『この差、絶対縮まらないよね?無理じゃん…白組ただでも負けてるのに。』 息を切らして、辿り着いた先にあったのは、非難の声。そりゃあそうだ。あんなに練習したのに、結局このザマなら仕方ない。でも、そんなの自分が1番分かってるのに…。
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