第一章 片想い

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周りの目がもしかしたらもしかするのでは…という、期待の眼差しに段々と変わっていくのが分かった。 応援する声が確かに大きくなっているはずなのに、俺にはその声なんて届いていなかった。 『…奏多……頑張れ、…頑張れっ!』 祈るような思いで、走る奏多だけを見ていた。 ぐんぐん縮まる1位との距離。 そして…… 『1位!…なんと、白組Bチーム!!奇跡の大逆転です!!!』 盛り上がる白組。…俺は、ただひたすらに有言実行してみせた奏多を見つめていた。何だか、目頭が熱くて…溢れそうになる涙をグッと堪えた。 『隼人!』 大きく手を振る奏多。額には汗が滲み、肩も大きく揺れている。 『やったぞ!!』 そう言って満面の笑みを浮かべながら右手を上に掲げた奏多は、今でも俺のヒーローで、憧れで、恩人で…そして好きな人だ。 それからというもの、俺は約5年間の片想いを続けている。 決して、叶う事のない恋だ。 ……辛くなかった、と言えば嘘になる。 中学に入ってからの奏多のモテっぷりは、小学時代よりも圧倒的だった。 ほとんど毎日呼び出されての告白。部活の大会では、奏多を見たいが為だけに沢山の女子が集まった。バレンタインには食べ切れない程のチョコを貰い、卒業には学ランのボタンが全滅した。
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