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「…ごめん、奏多。俺、話に夢中で…」
「……俺の方こそ、ごめん。でも、隼人が思うよりずっと、俺…嫉妬してるから。それだけは頭に入れておいてね。」
「はっ…えっ!?」
「うっわぁ…、何このイケメン…腹立つ。まぁ…小鳥遊が本気出すんなら、いよいよ俺も本気出さないとね。中嶋、次いつ空いてる?今日、明日は小鳥遊の補習の手伝いしなきゃいけないんでしょ?」
「そうだな…明後日なら大丈夫だと思うけど?」
「オッケー、じゃあ一緒に帰ろ!」
「ちょっ!そんな勝手に…」
「小鳥遊は…ぶ、か、つ、あるよね?」
「そう、だけど…」
「…大会、近いんだろ?例え、今回スタメンじゃなくても奏多の実力なら補欠だってあり得るし、ただでも補習で他の人より出遅れてるんだから頑張って?」
「…わかったよ。」
俺にそう言われて、口を尖らせたまま返事をする奏多。…何か、全体的に幼くなったような気がする。奏多って、こんな可愛い一面もあったんだな、と意外な一面に少し驚く。
それから教室に戻ると、小林はすでに昼食を済ませてしまったようで、俺たちの帰りを待っていてくれた。
「…中嶋も大変だなぁ、学年1、2位を争うイケメンにモテモテでさ。」
「いや、別に…」
「…中嶋が良い奴だからこそ、なんだろうな。俺も人として中嶋のことは好きだし。」
素直にそんな事をサラッと言ってくれる小林に胸が熱くなる。
小林が今まで通り、普通に接してくれたから…俺もクラスの中にいるのが苦痛ではなかった。
「…ありがとな。俺も、小林がいてくれて本当助かってるよ。」
「それなら良かった!今度俺とも遊びに行こうぜ。」
「う…」
「「隼人(中嶋)はダメ!俺と出かけるから!」」
うん、と返事をしようとした瞬間、息ぴったりの奏多と宮野に言葉を遮られる。
「お前らに聞いてないんだけど…」
小林が苦笑いしながら呟いたのを見て、俺も思わず笑ってしまった。
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