溺愛

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ターミナルの外に、飛行場のライトが点々と続く。 日曜の夜、深夜便で日本を発つ。 遅い時間にでて、早朝ロンドンに着く便で、「乗ったら、寝てればいい」便だと、カイが私の分もビジネスクラスを取ってくれた。 『ミュウ、大丈夫?』 空港のラウンジの端っこで窓を見ていたら、新聞を取りに行って戻ったカイが聞いてくれる。 『うん。大丈夫』 カイの手を取って、頷くと、カイが優しくこっちを見つめた。 『寂しい?』 『少し。だけど、わくわくのほうが大きい』 『なら、よかった』 人前なのを気にするように、少しだけ私の肩を抱いた。 空港のライトの上に、月が見える。 『カイ、月が出てる』 『ん。どこの国にも月は出るから、ミュウ、覚えてて。夜のたびに、思い出して。俺がどれだけ、ミュウの事を愛してるか』 『月まで、でしょ?』 『そう。月まで一往復』 「あっ」と月のほうを指さすので、そっちを見ると、その隙に、ちゅっとキスされた。 『ちょろいな、ミュウは』 くすっと笑っている。 『あなた、だから』 あなたには、簡単。 18の頃から、あなたに、抜け出せない恋に、落ちているから。 カイの手をぎゅっと握ると、おでこにキスが降って来た。 「I love you to the moon and back.」 ー完ー
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