溺愛

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旅館で美味しい朝ご飯を食べて、お昼前にチェックアウトして、会社の人にお土産を買って帰った。 花ちゃんと、佐藤ちゃんに、有名なお饅頭の小さい箱。 あと、大きなのを一つ、皆さんのために、給湯室へ。 お昼も観光地で食べて、夕方、手をつないで、一緒に帰る。 電車の中で、急に、昨日の夜のことを思い出して、笑ってしまった。 浴衣で、片膝つけない、カイ。 かっこつけてる。 嬉しいやら、恥ずかしいやら。 『何?』と言われて、返事に困る。 『何でもない。温泉、楽しかったなぁ、と思って』 『うん、良かった』 こっちを見て、微笑んでから、『あぁ、昨日のミュウはすごかったなぁ。』としらっと呟いた。 『カイ!』 どこで誰が聞いているか、分からないのに、急に変なことを言う。 クスクス笑っているから、いじわるしたんだろう。 電車の中で顔が赤くなった。 そのままカイのマンションに戻った。 ずっと一緒にいる。 それが当たり前のように。
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