2390人が本棚に入れています
本棚に追加
簡単な夕食をワインと一緒にとって、のんびりする。
カイのマンションからも、窓際に行くと、明るい月が見える。
昨日もお庭ではっきり見えた。満月が近いんだろう。
窓際で月を眺めて、少し昨日のことを考えていたら、後ろからカイに呼ばれた。
『ミュウ。大丈夫?』
『うん。もうすぐ満月なんだなーと思って。明るいよね。明日、明後日かな?』
窓の外の月を指さすと、腰を抱かれて引き寄せられた。
『うん、そうじゃない? 満月には狼が出ますよ』
ふざけて、首筋にかみつかれた。
クスクス笑っていると、ギューッと抱きしめてくれる。
『ミュウ、昨日言ったこと、考えてくれた?』
ちょっと真剣な声で聞かれる。
ドキッとする。
『うん。いっぱい朝から考えた』
『ん、なら』
私を抱きしめていた腕をほどくと、私を正面からしっかり見つめた。
あ。なんか、急にすごい緊張感。
っん、と軽く咳払いをして、カイが急に、床に片膝立ちになった。
心臓がものすごいスピードで跳ねる。
『ミュウ』
あんまりに真剣な顔で見つめられて、こっちが緊張してしまう。
心臓が痛い。
『僕と結婚してください』
差し出された手には、開かれたジュエリーケースがある。
えっ
用意してくれてあったの?
『ハイ』
決めていた返事をして、差し出された指輪を手のひらに受け取った。
『本気で?』
『本気で。いつでも答えは、ハイだって、言ったでしょう?』
この人しか、愛せないのだから、この人に人生をささげる覚悟はできている。
最初のコメントを投稿しよう!