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「侑李は一生友だちだよね?」
「もちろん。なに、改まって」
「いやいやだって、出会って7年の記念日ですから」
「乙女かよ」
「乙女ですよ~? この記憶をずっと留められるように早く完成させましょうコレ」
「うん、でもそう、あと一息。
結局、記憶とはシナプス同士の繋がりでその配列だ。どのように接続されているのか。電気信号が繰り返し同じルートを通ることで轍ができるように道ができて記憶が定着する。その近くの道を辿ることで想起される関連記憶。だけどそもそもそのシナプスの回路は人によって異なっている。
手順はわかる。まずその記憶、シナプスの通り路を正確に記録する。ルートの順位付けをしたままその記録を保管。それができればその周辺に同様に反応を示す関連シナプスを配置していく。確定ルートを特定できなくとも一連の記憶が相互に補完して……
「侑李、またボーッとしちゃって」
「ごめんごめん」
私の馬鹿!
なんでそこで話しかけちゃったの。ばかばかばか。大事なところだったのに!
記憶をそのまま保管、その方法も本当は確立できていない。そう、シナプスの形は人によって違うから、どんなふうに配置するかまだ検討段階だった。だからシステム完成段階で私か侑李で外部保存を試そうと思っていた。急いで進めて侑李の記憶のバックアップを取っていたら困らなかったのかも。それで今やってる記憶の抽出方法はシナプスの形状をそのまま転写して、いや、今はそれはいい。それよりまた潜ろう駄目な範囲は、ええと。
手元のメモを確認する。そう、シナプスの配置。複数ルートから推認できる、欲しい情報がありそうなルート。それが少しだけ体感的に分かってきた。でもここからこの範囲は行っちゃ駄目。ここを上書きすると私が機械を調整できなくなる。だから、駄目、そうすると可能な範囲はええと。
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