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「でね、かくかくしかじか……」 エリカとメグミは沙良とお喋りだ、どうやら俺の情報は伏せていてくれている。 これってこの2人は俺の味方をしてくれているって判断でいいんだろうか? 正直に俺が話したことが幸いしたのか? けどこの件が済んだら後から2人に質問責めにあうのは明白だろうけど沙良との関係は壊れることはなさそうだ。 でもエリカとメグミには俺が女装してるってバレた…… 変態野郎とか思われているか? ああ、学校の日が怖い。 「そういえばさ、エリカとメグミって柚月のクラスメイトってことはどこの高校?」 ッ!!! そ、それは不味い質問だ! 「城内高校だよ」 しまった!!  俺は万が一の時のため沙良から高校のことを聞かれた時ははぐらかしたり話をそらしたりしていた。 だからこの前の練習試合の時もやっぱり言わないでおいて良かったと思っていた。 そのことさえこの2人は知らない、だからすんなりとエリカは答えてしまった。 そんな俺の動揺に俺のことをチラッと見たメグミは気付いたのか??と頭の上に疑問符を浮かべている表情になりそこから何か推察したのかエリカが不味いことを口走ったと察した顔になる。 「城…… 内? 城内って私がこの前バスケ部の練習試合で行ったところだよね??」 「え? 沙良うちらの高校に来たことあるんだ?」 「うん」 「あ、そういえば鈴鹿女子が来るってスケベ男子がはしゃいでたっけ。 沙良ってバスケ部だったんだぁ」 「エ、エリカ、ちょっと」 なんてこったぁー!! メグミがフォローしようとしているがもう遅い。 「えー!! だったら柚月の高校に私行ってたんじゃん!」 沙良がこちらを見て言った。 「そ、そうみたいだね、でも沙良がどこの高校に練習試合行ってたかなんて聞いてなかったし……」 もうそれは俺の中では言わずと知れたことだったからな、余計なこと言ってないはずだが。 「あ、確かにそうか。 でも柚月の高校に行ってたんなら知ってれば柚月に会えたかもしれないのに〜!」 既に会ってるんだけどな…… 「…… ん?」 柚月が何か引っかかったのか少し考え込む。 俺はその引っかかりが容易に想像出来てしまった。 「柚月の学校にさ、柚月に超そっくりな男の子がいたの」 ほらー!!  「同じ学校なのに柚月にそっくりな子がいるって柚月が知らないなんてなんか……」 そこでエリカの表情が変わった、そしてエリカより早く察していたメグミは沙良の言いたいことが俺と同時にわかったようで…… 「わ、私もそれ知ってる! …… 先輩、そう! 先輩に柚月と似てる人がいてさ。 ね? エリカ」 「へ? あ、うん! そうそう! 柚月にも教えようと思ったんだけど忘れてた」 「そうだったんだ、私にそっくりな先輩が……」 少し苦しいような気がしないでもないが俺は話の整合性が取れているのか過去に言ったことで何か辻褄が合わないことがないかを探ることで必死だった。 「やっぱりそうだよね! 柚月にそっくりだったの、柚月も後でチラッと見てみたら?」 「う、うん、気が向いたらね」 え? それで話が通った?? いや、逆に考えるとこの2人がそう言ってくれたからそれは解決か? 「そっかそっか、柚月は城内だったかぁ」 話に一区切りついたかは知らんが沙良が口元に人差し指を当てて呟いた。 おかしなところに気付いたのか? と俺は内心焦る、気付けばエリカとメグミも迂闊なことは言えないということを先程のことからわかりなんともいえない顔になっている。 なんだこの空間は…… 俺のせいなんだけれども。 てかカラオケ来たんだから誰か歌えばいいのに。 来てから一曲も入れてないぞ、俺は歌にそんなに自信ないから入れていないが。 「そーだ! 城内って二駅離れてるだけだから気が向いたら遊びに行けるね柚月」 「え……」 「え?」 パアアッと閃いた! という顔で沙良が俺にそう言ったのに俺の返事が思わしくないので沙良は悲しそうな顔を見せる。  違うんだ。 来られるのはダメだ、対応が難し過ぎるんだよ。 大体女子の制服なんて持ってないしアポあってもなくてもそれは不味い。 「あ、ほら、うち共学だから沙良みたいに可愛い子来たら男子に群がられるんじゃないかなって。 そういうの苦手でしょ?」 「あうう…… それは苦手、でもなぁ」 「でもほら! 逆も然りで柚月が行けるわけだし」 「バカ! 女子校でしょ!」 「エリカ!」 「あ…… そうだった、つい……」 エリカがとんでもないことを言った。 アウェイに入ってどうする…… ま、まさかこの2人俺を嵌める気なんじゃないよな? 協力してくれると思ったらなんてことを。 「女子校だと何か問題あるの?」 沙良が当然のように当然な質問をした。 マズいに決まってるだろう。 「ほ、ほら、なんかほら! 女子校って女の子しかいなくて怖そうなイメージあるから」 苦し紛れの言い訳…… どんなイメージだよ? と自分でつっこむ。 「あははッ、怖くないよ。 寧ろ柚月が来たら柚月が美人だからみんなにチヤホヤされると思うよ? あー、でも私それだとちょっと妬けちゃうかも」 「ははは…… 私もチヤホヤされるのはちょっとなぁ」 「そうだ!!」 いきなりガタッとメグミが立ち上がりリモコンを取った。 「カラオケ来たんだからせっかくだし歌おうよ!」 「あ、うん。 そうだね、沙良の歌聴いてみたい」 「えー、そんなに上手くないし聴きたいなんて言われると恥ずかしいなぁ。 ねぇ柚月、一緒に歌おう?」 「え? ああうん」 そして話をはぐらかしてカラオケは終わった。 「楽しかった! また遊べたらいいなぁエリカ、メグミ」 「うんうん! また遊ぼうよ」 「柚月にも後で詳しく話聞きたいしね」 「はぁ、そうだろうね」 ぐッ…… 後が怖い。 けど2人とも俺が男だということは黙っててくれた。 とりあえず味方なんだよな??
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