出会い編 これが恋なのか? sideアルファ

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 仕事を終えた私はヨーゼフの助言通りに手紙を書くことにした。そばには屋敷に戻る前に買った彼女への贈り物がある。それに目を細め、羽ペンを走らせた。 『愛しの君へ  手紙をありがとう。私も胸の高鳴りがおさえきれない。  君の言葉一つ一つがやさしく、冷たくなった私の心を溶かすように思える。  君は太陽のような人だ。私をあたたかく照らしてくれる。  君のような人に出会えたことに神に感謝しなくてはいけないな。  すぐにでも会いに行きたいが、まだ仕事が片付かない。すまないが待っていてほしい。代わりに、君の好きなカーネーションの花を一緒に贈る。  店の者に聞いたのだが、オレンジ色のカーネーションの花言葉は『純粋な愛情』だそうだ。  今の私の君への気持ちだ。受け取ってほしい。  会えるその日まで、どうか体に気をつけて。  アルファ・アールズバークより』  彼女は花を喜んでくれるだろうか。  オレンジ色の花の横で微笑む彼女が想像できて、私は自然と笑うことができた。
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