出会い編 二度目の出会いは突然に

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 アルファ様たちの行く予定だった喫茶店は、偶然にも、私たちの好きなお店でした。ここのスコーンは絶品なのです!焼きたてのスコーンに苺ジャムとクリームをつけて頬張ると、顔がにやけてしまいます。  私とアルファ様はミルクティを頼み、ロンダとヨーゼフ様はコーヒーを頼みました。アルファ様、ミルクティを飲まれるのね。ちょっと可愛らしい。  私たちは同じテーブルについて、お茶とスコーンを楽しみながら、お話をしました。会話は、アルファ様たちのお仕事の話です。 「え? じゃあ、あの桟橋、まだ直されませんの?」  ロンダが声をだして、ヨーゼフ様が答えます。 「そうなんだよね~。このところ、隣の国に不穏な動きがあるからね。あの桟橋は隣の国と自国を繋ぐものだから、直さない方がいいという意見が出てきているんだよ」 「そんな……あの桟橋を渡った先に、怪我がよく治る薬草が手に入ると、町の人は言ってましてよ?」 「そうなんだよね。町の人には必要だけど、お偉いさんがたは、防衛のためによしとしないんだ」 「そんな、ひどいわ。町の人だって、生活がかかっているのに。そこらへんは、国の方がなんとかしてくださらないの? なんのための防衛ですの?」 「耳が痛いねー。俺達、一応、その民衆を守る立場の人だからなあ。まぁ、そんなゴタゴタに俺達も巻き込まれて、この町に足止めされているわけよ」 「なんとも頼りないことですね。もう、いっそのこと、可動式の橋でもかけてしまえばいいのではなくて?」 「可動式の橋……あぁ! それ、ナイスアイディアだよ! ね、アルファ君!」 「そうだな…」  ロンダのアイデアに、解決の糸口が見つかったようです。ロンダはすごいわね。私はお話についていくだけで精一杯なのに。 「いやー、いいね。妹ちゃん。賢い子はとっても好み。嫁に来ない?」  ヨーゼフ様の一言に、私はカップを落としそうになり、アルファ様は涼しい顔でお茶を飲み、ロンダはにっこりと笑いました。 「ご冗談を。こんな田舎娘、子爵様の妻など、務まりませんわ」 「そんなことないよ。現に、君のお姉さんは次期、辺境伯爵夫人になろうとしているし。それに俺は気楽な四男だしね。家は兄が継ぐし、俺はこんな性格だから、好きにしろって言われているし。お得だよ」 「私、ペラペラしゃべる殿方は好みませんの」 「あら~、じゃあ、アルファ君みたいなのが好み? この色男! 姉妹を両天秤にかけるなんてやるじゃない!」  ヨーゼフ様は、笑いながらバシバシと、アルファ様の背中を叩きます。あんなに叩かれても、微動だにしません。すごいわ。 「アルファ様に失礼ですよ。アルファ様にはお姉さまという、立派な婚約者がいるんです。お二人は、もうしっかりと愛で結ばれておりますの!」  ぶっ。思わず口に含んだお茶を吹き出しそうになりました。  ロンダったら、なにを言い出すの……!
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