61人が本棚に入れています
本棚に追加
「二人はラブラブだよね。それは認めるよ。あの仕事しか興味なかったアルファ君が、あのアルファ君が! 花なんか買っちゃったりしてさー」
「おい……」
「そうですのよ! お姉さまもその花をそれはそれは大事にされていて、毎日毎日眺めていますのよ! 『アルファ様にもらったものだから、つい見ちゃうの』とか言いながら!」
も、も、も……もうやめてー!
恥ずかしすぎて、くらくらしてきました。こんな所で、熱を出すわけにいきません。
私はカップをソーサに置いて、熱くなった頬を両手ではさみました。
ふいに大きな手が額にあたりました。優しくいたわるような手に驚いて顔をあげると、真剣な表情をしたアルファ様と目が合いました。
「熱いな。大丈夫か?」
少し近づいた距離に驚いて、腰を引きます。ガタッと椅子から変な音がしました。
「だいじょうぶ、です」
なんとか声をだすと、ロンダがヨーゼフ様に向かって大声をだしました。
「ほら、見まして! この二人の仲睦まじさを!」
声に驚いて、アルファ様がぱっと手を引きます。
「そうだね。いいね。青春だね~。じゃあ、俺達も愛を育もうか、妹ちゃん」
「あなた……よく話をきかないって言われませんか」
「うん、言われる。よくわかったね」
「だから!」
まだ言い合いを続ける二人を交互に見ていると、アルファ様が立ち上がりました。
「……ここはうるさい。少し外に出よう」
「え? あ、はい!」
出て行ってしまうアルファ様を追いかけます。
「お姉さま!」
ふいに、ロンダに呼び止められました。
胸に押しつけられるように、鞄を渡されます。
「プレゼントを渡すチャンスよ」
私は大きくうなずいて、アルファ様を追いかけました。
最初のコメントを投稿しよう!