出会い編 二度目の出会いは突然に

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 店の外にでると、アルファ様が立ち止まって、私を待っていました。遅れて出てきた私をじっと見たあと、そっけなく視線を外されました。 「ヨーゼフがうるさくて、すまない……あいつは………その、なんだ……」  アルファ様は前髪を手でかきあげて、嘆息されました。 「色々と………………うるさい奴なんだ……気を悪くしてないか?」  私は首をぶんぶん横にふります。 「いえ、ヨーゼフ様は楽しい方ですね」  びっくりするようなことを言う方でしたが、嫌な気持ちになりませんでした。私が微笑むと、アルファ様はほっとしたような顔をされました。 「……熱は」  ふいにアルファ様が、私の指先を掴まれました。労るように指をなぞられ、ドキンと、心臓が跳ねます。 「体調が悪いなら、送るが」 「い、いえ! 大丈夫です!」  私は恥ずかしくて、さっと手を引いてしまいました。するりとアルファ様の手から指が抜けてしまい、引いたのは自分なのに、寂しさが込み上げてしまいました。 「そうか……」 「はい……」  何も言えなくなってしまいました。沈黙が重たいです。鞄を抱きしめていると、アルファ様が、声をかけてくれました。 「あっちにベンチがあるな……座ろうか」 「は、はいっ」  アルファ様が道沿いにあるベンチに向かいます。私も後をついていきました。  煉瓦で整備された道には、ぽつりぽつり、木製のベンチが置いてあります。ここで一休みされる方が多いのです。  三人は座れそうな長いベンチの端に、アルファ様が腰をおろします。私は反対側の端に腰を落ち着けました。一人分の隙間が私たちの間にできました。  座ったものの会話はありませんでした。涼しい風が頬をなでていくのに、私の顔の火照りはいっこうにおさまりません。  ちらちらと、横目でアルファ様の様子を伺っていると、目が合いました。どきりと、心臓が跳ねて、目がそらせなくなります。 「送った花、毎日見るほど、喜んでくれたんだな……」  かっと、また顔が熱くなります。 「はい、とても嬉しかったので……あ、アルファ様も!お花を一生懸命、選んでくださったのですね!」  言い終わったあと、はたと我に返りました。余計なことを口走ったかも!  わあああっと、内心であたふたしていると、アルファ様の頬がほんのり赤くなりました。 「……君を喜ばせたくて、花屋に相談した……喜んでくれて、よかった……」  かすかにアルファ様の口角があがりました。優しい微笑に、ドキン、ドキン。心臓が高鳴ります。  私は鞄をぎゅっと握りしめました。  チャンスよ、ミランダ。  プレゼントを渡すのよ!  意を決して、鞄の中から贈り物をとりだしました。 「これ!お花のお礼です! 受け取ってください!」  両手に持って贈り物を差し出しました。恥ずかしくて顔が上げられません。手に汗がにじんで、指先は小刻みに震えてしまいました。
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