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部屋に戻った後もミランダは泣きじゃくっていた。
「ロンダ、ロンダ……ごめんなさい」
「ミランダ……」
「アルファ様との婚約を私がダメにしてしまったわ。せっかく……アルファ様という素敵な方と出会えたのに…… ごめんなさい、ごめんなさい……」
「ミランダ……」
泣きじゃくるミランダを抱きしめて、私は茫然としていた。
なんで、こうなっちゃったんだろう。
私が身代わりなんてさせたから?
私が、みんなを悲しませたの?
私が……
…………。
まだよ。
まだ、望みはあるわ。
少なくともアルファ様はミランダを婚約者にしたがっている。ミランダだって、婚約者になりたいって思ってるはずだわ。
それなら。
「ミランダ。ミランダ」
泣きじゃくるミランダに声をかける。
「大丈夫。きっと、なにもかもがうまくいく。大丈夫だから」
「ロン、ダ……?」
精一杯、笑いかける。私の可愛い妹。私が絶対に幸せにしてあげる。
たとえ、離れることになったって。
私が幸せにしてあげるんだから!
そして私は二度目の賭けにでた。
*
「ハートのYと話がしたいの。会わせてもらえる?」
あの店に出向き伝言をいう。
再び来たとき、彼と会う時間を言われた。
そして、私は再びあのうさんくさい男に会った。
「君からのお誘いなんて嬉しいな」
相変わらず彼は緊張のない笑顔で私を見つめていた。私は少し深呼吸して、その男を見つめた。
「私と駆け落ちして」
男は不敵に笑った。
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