61人が本棚に入れています
本棚に追加
「ありがとうございます。でも、私達は偽証の罪があります。それは娘を止められなかった私、親の責任です。どうか、娘達には、何のお咎めもないようにしてください」
「お母様!」
「あらあら。罪だなんて、そんなこと思ってないですよ」
夫人が私を見ます。
「ミランダ様」
「……はい」
「あなた、首のところにホクロがあるんじゃない?」
夫人の話通り、私には首のところにホクロがあります。
「はい」
「初めてお会いした時にね、首に可愛らしいホクロに気づいたの。ほら、私、あなたに近づいてお話ししたでしょ? その時にみつけたのよ。ふふっ、私、目だけはいいの」
そうだ。アルファ様とお話しする前に夫人と話しました。
「最初に出会ったのが、――あなただった。とっても可愛らしいお嬢さんで本当に嬉しかったわ。そして、そのお嬢さんとアルファが婚約してくれるんだもの。こんなに嬉しいことはないわ。たとえ、あなたが名前を偽っていたとしても、私は許します。だから、アルファと婚約してくださいますか?」
優しい夫人の言葉に、こくこくと頷きます。夫人は満足そうに微笑むと、アルファ様を呼びました。
しばらくして、アルファ様が部屋に入ってきました。
私は立ち上がってアルファ様の元に駆け寄ります。
「アルファ様……私……」
「もう、いい。もう、いいんだ」
困ったような優しい微笑み。それを見て涙を拭います。
「ミランダ……」
初めて呼ばれた名前にドキドキしながら、アルファ様を見つめます。
「君の婚約者になりたい。婚約式をしてくれないか?」
涙があふれ、こぼれ落ちました。そして、ありったけの思いを込めて私は笑いかけます。
「はい、喜んで」
そして、一ヶ月後のよく晴れた日。私たちは、婚約式をしました。
最初のコメントを投稿しよう!