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翌日、予想通り熱が出た私は、ベッドの中から出られずにいました。ばあやがミルク粥を持ってきてくれて、それを少しずつ食べているところです。
「しっかり食べて元気になりましょうね」
「ありがとう……」
「頭にあてた布があたたまってしまいましたね。冷たくしてきましょう。食べ終わったら、お薬をお飲みください。水はこちらにありますので」
「うん。ありがとう」
「じゃあ、また後できますね」
ばあやは、ぬるくなった桶を手に持って、部屋から出ていきました。私は残ったミルク粥を口に運びます。すると、すぐに扉がゆっくりと開きました。ばあやったら、忘れ物でもしたのかしら?
「ミランダ。具合はどう?」
「ロンダ……」
部屋に入っていたのはロンダでした。
「大丈夫。いつもの微熱よ」
「そう? でも、食欲がないみたいよ。ほら食べさせてあげる」
ミルク粥の入ったお皿をロンダにひょいと取り上げられてしまいました。粥をすくって、私の口元にスプーンを差し出します。
「ほら、あーん」
パクっと粥を食べるとロンダは満足そうに微笑みました。何度か繰り返されて、お皿はすっかり空っぽです。
「これでよし。ほら、横になって」
「ありがとう」
「あ、そうだ、ミランダ。手紙ありがとう。とてもいいと思うわ。でも、一つだけ。私の好きな色は赤よ。オレンジはミランダが好きな色じゃない?」
え? あれ?
私、赤って書いてなかったっけ……?
どくどくと心臓が脈打ち、顔は熱いのに、ゾクゾクと背中に悪寒が走りました。
「ご、ごめんなさい、ロンダ! 書き直すわ!」
「いいの、いいの。それにもう手紙、出してきちゃったし」
「えっ……?」
あぁ、まずいわ。熱が上がってきたみたい。視界がぐるぐるする。
「夕日なんて、赤もオレンジも混ざっているし…それに……ミランダ? ミランダ!」
私ったらダメね。うまく書けたと思ったのに。ごめんなさい、ロンダ。ごめんなさい……。
そのまま私の視界は真っ暗になってしまいました。
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