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「コウキって今、何してんの? ずっと東京にいんの?」
「……うん、ずっと山手線の中から動いてない。なんだかんだ便利だしな」
「だったら、同窓会来ればよかったのに。三年くらい前にやったんだよ」
不思議そうに問いかけるヒカリに、コウキは見え透いた演技をする。
「え? どこでやったの?」
「上野のホテルだよ。学校からも結構近くて、歩いて一五分くらいだったかな。二次会終わりに皆で行ったなぁ。あっ、大丈夫大丈夫。いくら酔っぱらってたとはいえ、不法侵入はしてないから」
「マジで? 俺、それ初耳なんだけど」
「えー、幹事だった子に聞いたけど、コウキにも招待状送ったって言ってたよ?」
「じゃあ、もしかしたら気づかないうちに、捨てちゃったのかもしれない。ごめんな。同窓会行けなくて」
「本当だよ。コウキが来なくて、皆けっこう寂しがってたんだから。次やるときは絶対来てよ。いつになるかは分かんないけど」
かすかに赤らんだ顔で、釘を刺してくるヒカリを、コウキは笑みを浮かべて受け流した。開始から五分ほどしか経っていないのに、二人の間ではもう話題が尽きはじめていた。
プライベートな話題を持ち掛けることもできず、困り果てるコウキをよそに、画面の下に表示が浮かび上がる。
ヒカリが承認すると、軽やかな声が飛び込んできた。
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