Together

8/9
前へ
/9ページ
次へ
「ダイパの話してたよ。ポケセンに並んだ話だったり、WiーFiの話だったり。そういえばスズはダイパが初めてのポケモンだったよね」 「そうそう。私それまでテレビゲーム自体、そこまでやったことなかったから、何もかもが新鮮でさ。よくヒカリたちに相談しに行ったなぁ」 「最初っからどうやって動くの? みたいな質問してきてたもんね。説明書見れば分かることなのに」 「それ、当時も言われた。ごめんね。迷惑じゃなかった?」 「全然。むしろ頼ってくれて嬉しかったよ。スズって勉強も運動もできて、なんか特別感あったから。私たちと同じ高校生なんだなって逆に安心してた」 「そうそう。ほら、スズってけっこう早い段階で、推薦決まってたじゃん。京都の方の大学に。だから、繋ぎとめてくれる糸? みたいなものができたのは嬉しかった」 「うん。私もポケモンやっててよかったと思う。ほら、前の私ってあまり友達いなかったから。ポケモンを通して、ジュンだけじゃなく、ヒカリやコウキとも知り合うことができて、本当に楽しかった」  「ありがとね」と、スズがまるで会話を締めるようなことを言うから、コウキは頭を掻いてしまう。面と向かって話す以上に、恥ずかしさがあった。 「特にコウキには、いろいろ相談に乗ってもらったなぁ。ストーリーの進め方とか、パーティの組み方とか。ジュンとヒカリもそうだけど、コウキがいなかったらたぶん私、でんどういりできてなかったと思う」 「コウキ、めっちゃポケモンに詳しかったもんな。俺たちも努力値とか、厳選とかはルビサファのときにコウキに教えてもらったし。バトルもコウキには全然敵わなかった」 「私も。コウキ、タイプ相性とか、どこにどのポケモンが出るとか全部知ってたもんね。攻略本も全部持ってて、よく貸してもらったなぁ。私けっこういろんなとこ飛ばして進めてたし、コウキに教えてもらえなかったら、たぶんシンオウ図鑑完成してなかったんじゃないかな」 「三人とも言いすぎだよ。俺のは全部攻略本とか、ネットで得た知識だし」 「そんなことないよ。何でも誇れることがあるのはいいことだって。ポケモンに関しては、コウキは本当に頼りになったんだから」 「そうそう。私ん中ではいまだに、笑顔でダイパをやってるコウキのイメージが、焼きついてんだから」 「分かる。俺もダイパがリメイクされるって発表された瞬間、真っ先にコウキの顔が思い浮かんだもん」 「ああ、それ私も。コウキやジュンやヒカリと、また一緒に遊べるなって思った」 「私も最初に浮かんだのは、コウキのことかな。ぶっちゃけ同窓会に来てくれなくて、けっこう寂しかったんだよね。でもあの時夢中になって遊んだダイパなら、またコウキと話せるなって感じた」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加